私たちの食卓が未来を変える 「かつお節」に学ぶ食文化
2019年11月13日
パルシステム連合会は10月29日(火)、東京・新宿の本部事務所にて、かつお食堂を営む“かつおちゃん”こと永松真依さんを招き、第5回「ほんもの実感!」くらしづくりアクション連続講座を開催しました。
パルシステムは、一人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと、「ほんもの実感!」くらしづくりアクションに取り組んでいます。今回はかつお節を美味しく楽しく啓蒙活動している永松真依さん、通称”かつおちゃん”を迎えてかつお節の魅力について学びました。一般組合員、パルシステムグループ役職員、取引先メーカーなど計77名が参加し、動画配信サービスも実施しました。
かつお節は人の思いが詰まった結晶
パック入りのかつお節や、だしパック、白だしなど便利なものの登場で、家庭でかつお節削り器を目にする機会はほぼなくなってしまいました。
主催した商品委員会の反町幸代委員長(パルシステム群馬理事長)は、「漁獲からかつお節になるまでにはたくさんの物語」があるとし、「和食やお米への理解は、味覚だけでなく五感を育てるものでもあります。地域の文化や作っている方を知り、応援することが『ほんもの実感!』につながります。今日はかつお節の魅力を存分に味わってください」とあいさつしました。
第1部では「海を泳ぐかつおから、かつお節が出来るまで」として、永松さんからかつおぶしとの出会い、3年半かけてかつお産地を巡り漁師や職人のもとでさまざまな経験を経て、今の啓蒙活動に至るまでの紹介がありました。
「現在の調布市でかつおの骨が発掘され、古来の縄文時代からかつおは食されていました。色んな地域や文化、歴史上にかつお節があります。かつお節はかつおを切って、煮て、火で燻して天日干ししてできあがります。一番時間のかかる本枯れ節と呼ばれるものはさらに黴付けと天日干しを繰り返し、叩き合わせるとキンと音がする世界一硬い食べ物ともいわれています」
また、かつお節を作るうえで沢山の人が関わっているという指摘も。
「かつおを釣る漁師、かつお節職人、削り器を作る職人でも台座だけ、刃の部分をつけるだけの職人もいます。一本釣り、または巻き網漁なのか、捕れたかつおの種類、作るのにかかった時間、削り器のちょっとした刃の角度でも削りや味に変化があります。かつお節は物ではなく人の思いが詰まった結晶。かつお節に関わる職人の思いにフォーカスするように美味しさを伝えていきたいと思っています」
おいしいかつお節を削ってみよう
第2部の冒頭、当会常務執行役員・髙橋宏通は、「世の中がどんどん便利になっているなか、日本の昔からあるかつお節のような食文化がなくなっていく恐れがあります。実際にかつお節を削って食べて、体験してみてください。自分で体験して、毎日の食の大切さを伝えるのが『ほんもの実感!』。食というものを改めて考え、本当の意味での“ほんもの”を大切にしていきましょう」と話しました。
その後、各テーブルにかつお節と削り器を配布して、実際にかつお節を削る体験をしました。削りたてのかつお節をごはんにかけて、だしがたっぷりのお味噌汁と一緒にいただきました。
当会商品開発本部長・辻正一は「第1部で「静」、第2部では体験する「動」、まさにかつおのように回遊できました。かつお節を作る膨大な工程の中にこそ日本の食文化があり、その価値を知ることができます。利用することで社会にとって良いものとして進めていくのが『ほんもの実感!』です。未来につなげていけるよう、これからも“選ぶ”ことを実践していきましょう」と結びました。