3.11を前に考える 「福島で暮らす生活者と寄り添う支援者から見た、福島のいま」講演会を開催

2018年2月23日

パルシステム連合会・地域活動委員会が主催し2月8日(木)、東京・東新宿本部で、福島のいまを学ぶ、講演会と活動報告会を開催しました。


2011年3月11日に起こった東日本大震災から、もうすぐ7年を迎えようとしています。パルシステムグループでは地域で活動する市民団体の応援、保養、甲状腺検診など、さまざまな復興支援活動に取り組んでいます。「福島のいま」を知り、今後の適切な支援活動に生かそうと、地域活動委員会が主催し、福島の生活者・支援者を招いたヒアリングの場を設定しました。

被災後の障がい者就労支援

NPO法人コーヒータイムの理事長の橋本由利子さんは、震災以前より福島県浪江町で、主に精神障がい者のための作業所運営に携わっています。海と山に囲まれ、自然豊かな土地であった浪江町は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、直後は町民全域2.1万人の町民がすべて避難対象となるなど、甚大な被害をこうむりました。2017年3月31日には一部帰還困難区域を除いて避難指示は解除されましたが、復興への歩みはまだ始まったばかりです。

「事故当時『恐ろしい思いをして逃げた』体験が、今なお私たちには染み付いているように思います。精神障がいの家族を連れて避難所へ移った家族の方は、周囲に気を遣ったり、自分も高齢で充分なサポートができずに悩んだり、とたいへんなようすでした」。

仮設住宅やみなし仮設に避難する生活を送りながら、二本松市において障がい者の就労の場として活動を再開した橋本さん。「コーヒータイムは社会の入り口です。働くことにより地域社会で役割を果たす」と、多様な存在を認め、包摂する活動の意義を示しました。いま必要な支援はという質問には、安全で新鮮な生鮮食品の買い物支援のほかに「どこか違う場所へ出かけたいと話す方が多いですね」として、保養活動の必要をあげました。

復興を後押しする民間団体の資金難

パルシステム福島の理事であり、地域活動委員会のメンバーでもある吉田智子さんは、地元福島に暮らしながら、さまざまな活動にかかわり、被災後の地域を見つめ続けています。「補償金額によって地元で静かな分断が生まれているのは確かです。保養のサポートなど、できることを組合員のみなさんと取り組んでいます」。
避難の協同センター事務局長の瀬戸大作さん(パルシステム連合会 専任部長)は「民間(復興支援)団体の資金難が深刻です。保養活動では、安全な食物の調達が難しくなってもいます。被災者については避難後の生活支援が打ち切られ、貧困へと転落するケースも多々あります」として、今後も継続した支援が必要と話しました。

パルシステムでは引き続き、原発に頼らない社会の実現のために、さまざまな団体と連携しながら、協同の力で生活者がエネルギーを選択できる社会をめざしていきます。

 

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