TPP交渉差止・違憲訴訟が判決 くらしと権利を守るため第三次訴訟を準備

2017年6月9日

パルシステムが協力する「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」が提訴した訴訟について、6月7日(水)に判決がありました。東京地方裁判所には定員を超える傍聴希望者が訪れ、門前集会、報告会、第三回総会も行われました。

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「極めて形式的な判決」に抗議

「 TPP交渉差止・違憲訴訟の会」は2015年1月に設立しました。パルシステムグループも、産直産地の生産者をはじめとする関係団体と協力し、活動を応援しています。訴訟は5月15日(金)、原告1,055名にて提訴され、8月21日(金)には原告527名による第二次提訴が行われました。

判決は2017年6月7日(水)に東京地方裁判所で行われ、傍聴定数約100人を越える傍聴希望者が集まりました。それに先立ち裁判所前では門前集会、終了後は全日通霞ヶ関ビルで報告会と第三回総会を開催しました。

東京地方裁判所は「協定は発効しておらず、原告らの権利が侵害されたとはいえない」として、訴えを退けました。TPPをめぐっては、米国が離脱を表明した後も、日本政府は発効を目指して他の国々に働きかけています。本会と原告弁護団は、判決後に記者会見を開き「判決は極めて形式的であり、『憲法の番人』として司法の責務を放棄していることに強く抗議します。内容詳細が明確にされない条約について、検討もせず、国民の権利侵害について全く考慮しないのは問題です」として、控訴する考えを示しました。

種子法廃止など具体的な法改正に着目

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報告会に先立ち、総会の記念講演として印鑰智哉(いんやく・ともや)さんから、先日成立した「主要農作物種子法」廃止法案とTPPの関連性についての学習会も開催されました。印鑰さんは「遺伝子組換え作物を広めている多国籍企業が、『種』をビジネスとして支配しようとしています。南米などでは、TPPといえば『化学企業が農民のいない世界を作る』条約として認識されているほどです。そんななか、この4月に政府はわずか数時間の議論で『主要農作物種子法』を廃止する法案を通してしまいました。米や小麦、大豆といった日本人の主食である『種』の権利を、地方自治体から多国籍企業へ譲渡するものです」として、「私たち一人ひとりのフードデモクラシー(食料主権)と、種の多様性を守らねばなりません」と訴えました。

報告会では、裁判の内容について、弁護団や原告、傍聴者より報告がありました。続く第三回総会では2016年度の活動と決算報告、2017年度の活動計画・予算などについて確認され、すべて承認されました。本会の幹事長、山田正彦・元農林水産大臣は「種子法廃止のほか、政府は水道法改正を国会に提出するなど、TPP協定が発効していないにもかかわらず、多国籍企業の介入を進める法案を次々に整備しています。今後はこうした具体的な法改正の動きに着目し、控訴に向けて準備を進めていきます」と、引き続き裁判に取り組む決意を表明しました。
パルシステムのTPPに対する立場について
TPP交渉差止・違憲訴訟の会