組織的犯罪処罰法改正案がくらしに与える影響とは

2017年5月18日

パルシステム連合会は5月12日(金)、東京・新宿区の東新宿本部で「組織的犯罪処罰法改正案」について考える学習会を開催しました。

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法案のポイントを学習

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犯罪を計画したときに処罰する「共謀罪」の趣旨を含む「組織的犯罪処罰法改正案」が3月に閣議決定されました。政府は本国会での成立をめざしています。
5月19日(金)に開催した学習会には、本法案について国会や政府の動きを詳しく取材してきた朝日新聞社の金子元希記者を招き、これまでの経緯や法案のポイント、市民社会に与える影響について学びました。パルシステムグループの役職員約50名の参加がありました。

「内心の自由」に踏み込む危険性

開催趣旨について、石田敦史理事長は「報道などでは、共謀罪の導入によって公権力が強まるなどの指摘があります。私たちのくらしにどんな影響を及ぼす可能性があるのか、ともに学びましょう」とあいさつしました。

「共謀罪」は2003年を初めに、過去3回にわたって国会に提出されましたが、いずれも強い批判を受けて廃案となっています。それから十数年が経過した今年、政府は2020年の東京オリンピック開催に備えて「国際組織犯罪防止条約」(TOC条約)を結ぶために必要として、「テロ等準備罪」という呼称で再び法案を提出し、成立を急いでいます。

金子記者は「犯罪を行なうことを計画し、その計画を実行に移す『準備行為』があったときに罪に問われる、と政府は説明しています。『一般の市民は対象にならない』と主張していますが、『犯罪の疑いがあれば一般人ではない』と法務副大臣が発言したように、ケースによってあいまいであることは否めません」と話しました。

政府は対テロ対策を前面に打ち出していますが、対象犯罪とされた277のうちテロ関連は110で、ほかは主に暴力団を対象にしたものが目立ちます。「世論はやや賛成の傾向にありますが、予備罪、準備罪、陰謀罪、共謀罪など、すでにある現行法で対応できるのではと言う意見や、刑法犯が戦後最低ななかで、こうした法律を作ることの是非を問う声も上がっています。最も懸念されるのは、『内心の自由』に踏み込む危険性です。『こんなことを思ってはいけないかも』『行動に気をつけなくては』と、表現の自由がはばかられる空気が社会に漂うことなのです」と指摘しました。

今後の重要なこととして「ポイントは成立した後です。通信傍受法が好例ですが、当初慎重に議論され設定されていた法律が、10~20年後に、より公権力側に自由度の高い内容に改正されることもあります。どう運用されるのか、引き続きチェックしていく必要があります」と投げかけました。

意見「組織犯罪処罰法改正に反対します」を首相へ提出 罪のない市民の権利が侵されかねません (プレスリリース)|2017年5月17日