インフォーマルサービスシンポジウム2017開催 みんなの「居場所」でつながろう

2017年3月23日

パルシステム共済連とパルシステム連合会は2月28日(火)、東京・新宿区の東新宿本部でインフォーマルサービスシンポジウム2017「組合員と一緒に地域コミュニティを増やそう!~インフォーマルサービスの実践編~」を開催しました。

「インフォーマルサービス」を実践に

シンポジウムは、「動こう!自分・地域・社会のために」をテーマに開催し、さまざまな地域活動の事例の共有と、インフォーマルサービスを実践するために必要な連携や支援について考えました。グループ役職員、会員生協など60名が参加しました。

2016年は出生数が100万人を割り、2025年には推計人口のうち75歳以上が2千万人を超える(推計人口構成比の18%以上)といわれています。これは、財政面からみて、年金をはじめとした医療や介護などの社会保障サービスがこれまで通りの利用が難しくなることを示しています。すなわち、安心して暮らしていくには、インフォーマルサービス※が不可欠となるものの、今はそれが不足しています。

※インフォーマルサービスとは……公的機関や専門職による制度に基づくサービスや支援(フォーマルサービス)以外の支援を指します。 具体的には、家族、友人、近隣住人、ボランティア、非営利組織など「制度に基づかない援助」が挙げられます。

こういった状況を踏まえ、パルシステムでは、インフォーマルサービスとは何か、どんなサービスがあるのか、なぜパルシステムが取り組むのかについて、検討を重ねてきました。今回は、実際に組合員が主役になって実践を広めているパルシステム東京の事例を軸に、組合員がインフォーマルサービスの担い手になるには何が必要か、実践に向けて、何が課題となっているのかを追求しました。また、コミュニティづくりの実践事例を学び合いました。

「はす池キャンディー」と地域活動

NPO法人母さんの楽校代表 加藤とく江さん

NPO法人母さんの楽校代表 加藤とく江さん

第1部では「組合員とつくるインフォーマルサービス」と題して、実践報告とパネルディスカッション、グループワークが行われました。

パルシステム山梨の組合員である、NPO法人「母さんの楽校」代表の加藤とく江さんは、介護保険に頼らず、元気に楽しく年を重ねることを目的に山梨県富士吉田市明見湖公園内にある「明見湖はす池体験工房」で活動しています。活動資金にもなっている「はす池キャンディー」は、パルシステムのPB商品「花見糖」と「毎日のマーガリン」を使用しています。あめ作りから始まり、今では公園内の芝生エリア管理などの指定管理活動も行うなど活動が広がっています。今後は「楽校のインフォーマルサービスとして、工房のなかの70~100名くらいが入ることができる多目的室で、近所の高齢者の人たちの居場所にして、カラオケや囲碁教室を楽しんでもらえたらと考えています」と述べました。

パルシステム東京「居場所づくり説明会」

「たまりばらんど」代表の小野令さんとパルシステム東京根本美奈子常任理事

「たまりばらんど」代表の小野令さんとパルシステム東京根本美奈子常任理事

パルシステム東京からは「組合員が自ら立ち上げる居場所づくりと、それに関わる支援とは」と題し、「たまりばらんど」代表の小野令さんから報告がありました。「自分の定年退職後、母親との同居のために多摩市に引越してきた際に、地域で隣の人も知らないような関係性をなんとかしたいと思ったのです」と、設立のきっかけを話しました。夫人の助言もあって、パルシステム東京に相談、理事や職員とともに協力し、自宅を開放した地域交流の家「たまりばらんど」が始まりました。「自分から開いて、動いていかなければコミュニケーションは始まりません」と地道に活動を続け、今では月1回のペースで開催、参加人数も増えてきました。

説明会の実施に向けて尽力したパルシステム東京常任理事の根本美奈子さんは「当初、組合員個人の取り組みをサポートする仕組みがない中で、組織内からは特別扱いではないかとの声も上がりました。しかし、これからの活動を展望するうえでの必要性を訴えました。さらに公平性を保つ視点から、他の組合員で居場所を作りたい人たちを支援するために説明会を開催することとなりました」と話しました。

居場所つくり説明会講師 岡本和泉さん

居場所つくり説明会講師 岡本和泉さん

居場所つくり講師の岡本和泉さんからは、街づくり、地域づくりを目指す「まちケーション」の実践について説明がありました。「そもそも居場所とは場所の『箱』のことではなく、そこに集まってくる人とそこで行き来する心、交流が大事です。どうやっていきいきと暮らしていけるか、自分のまちのこの先のビジョンを考えていきましょう」と投げかけました。

地域や暮らしの課題への取り組み

グループワークのようす

グループワークのようす

第1部の締めくくりには、岡本和泉さんを総合ファシリテーターに参加者でグループワークを行いました。組合員をどのように応援すれば地域コミュニティを広げられるか、事例を3つにわけて必要なもの、導き、サポート、その将来像について考え、意見が交わされそれぞれ発表がありました。

“顔が見える関係”が重要

パルシステム茨城地域活動推進部 君嶋義之部長

パルシステム茨城地域活動推進部 君嶋義之部長

第2部では地域連携でつくるインフォーマルサービスと題して実践報告とグループワークがありました。

パルシステム茨城からは君嶋義之地域活動推進部長より、地域連携の「310食堂」と行政との連携について紹介がありました。「310食堂」は地域の商店街やNPO、パルシステム茨城などが参加して、地域住民が食卓を一緒に囲む場として月1回開催しています。実行委員会メンバーを含むさまざまな団体からボランティアスタッフ25名、高校生や大学生も参加しています。「地域団体や行政と継続した連携をつくることが大事です。“生産者と消費者の顔が見える関係”が大切なのと同じように、行政窓口や他団体とも、顔が見える関係をつくっておくことが重要です」と述べました。

パルシステムの枠を外して考えてみよう

最後に「地域と連携して、私が、パルシステムが、始められることとは?」をテーマに、再度グループワークを行いました。パルシステム茨城の事例を参考に、地域と連携する取り組みについて感想を共有、課題や解決方法などを出し合いました。子育て支援など地域の諸団体や、パルシステムの地域活動情報誌『のんびる』などの資源を活用して子ども食堂や、障がい者支援に取り組みたいと発表がされました。

グループワークを総括して岡本さんより「視点を変えてみてください。いち個人として改めて地域に出てみてください。組織内では当たり前の取り組みも、また違って見えてくるはずです。そのうえで、実験的でワクワク感のある支援を目指すと自分たちになにができるか、展望がみえてくるのではないでしょうか」と締めくくりました。

パルシステム連合会総合福祉事業推進沖倉紅児室長は「いいヒントをいっぱいいただくことができました。特技と得意をつなげて、楽しんで取り組むと持続性につながっていくことがわかりました。地域の一員としてどう還元できるか一緒に考えていきましょう」と総評しました。