『のんびる』創刊10周年記念シンポジウム開催 「協働のチカラ、つながる力」を地域から考える
2016年12月1日
パルシステム連合会は2016年11月15(火)、新宿区立新宿文化センターで『のんびる』創刊10周年記念シンポジウムを開催しました。
のんびる創刊10周年を迎えて
「はじめる!つながる 社会が変わる」を合言葉に生まれたパルシステムの雑誌『のんびる』は創刊10周年をむかえました。記念シンポジウムでは、これまで『のんびる』の表紙を彩った障がい者アートの展示や視覚障がい者グループ「ビッグベアーズ」のコーラス、創刊時からの『のんびる』が展示されました。パルシステム役職員や会員生協、読者や一般参加者など61名が参加しました。
冒頭、パルシステム連合会の原秀一専務理事があいさつし「この10年で貧困問題が台頭し日本の福祉も崩れつつあり、女性の生き方も変化してきています。今後はますます『のんびる』で扱う情報が必要とされる世の中になるでしょう。会員生協との取り組みでも連動し、さらに広めていきたい」と述べました。
地域医療と「伝統回帰」の考え方
午前の部には『のんびる』で連載を持つ、長野県・佐久総合病院内科医の色平哲郎さんより病院の成り立ちや農村における地域医療のあり方など、オリジナルの寸劇や歌を交えた話がありました。「佐久病院は地域農民のみなさんのニーズにこたえて、“まちづくりをしていくように”大きくなった病院です。一緒に酒を飲むなどして、地域となじみながら本音を聞いていく、御用聞きのような存在から始まりました。今ではミャンマーやスウェーデンからも視察がくる有名な医療機関となりました。田舎の高齢化は都会の10年先以上を進んでいて土台ができています。今後の都会の高齢化を非常に心配しています」。
同じく連載を寄せる哲学者の内山節さんからは、里山とともに暮らすことや「伝統回帰」の考え方について講演がありました。「私が暮らす群馬県上野村は、自然に囲まれた1,300人ほどの村です。住民の4割が高齢者です。村人同士の信頼が厚くみんなで助け合いながら生きる協同的世界があります。村の基本となる社会構成が自然と人間です。『伝統回帰』は伝統的で多様な存在と共存することから成立する考え方です。みんなで揃ってお祭りや年中行事、お墓参りにいくことで、村の関係性や安心感のある“協同”の世界、村の社会が成り立っているのです。これからは都会もいまの時代にあった新しい発想の『伝統回帰』の考え方が必要かもしれません。そういった意味では地方のほうがフロンティアで、お金のかかる都会よりいろんなことを始めやすいかもしれません」と述べました。
「のんびる」の前田和男編集長を交えたトークセッションでは今後の高齢社会に向けた考え方などが論議されました。
『のんびる』と地域と私――活動報告
午後の部にはイラストレーターでパルシステム山梨組合員の鈴木律子さんより「『のんびる』と地域と私」をテーマに活動紹介がありました。福島支援をテーマにした「布ぞうり用古Tシャツ募集」の企画や、福島のママたちに無償で送る「お野菜便」、地元大月市のガイド業務など、可愛いイラストを織り交ぜた報告がありました。「子どもたちの財産にもつながる貴重な経験だと思って一緒に楽しんで活動しています」と話しました。
後半は「パルシステムが生協として地域でできること」をテーマに鈴木さんに加え、パルシステムグループの役職員が登壇し意見を交わしました。
最後に前田編集長は「『のんびる』の良さはずっと変わらないという、しつこさ。今までやってきたことに自信をもってこれからも続けていきたい」と今後を展望し、会場は拍手で包まれました。
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