理事会拡大学習会「消費と流通の今を捉え、先を読む」開催 パルシステムへの提言、期待すること
2016年11月8日
パルシステム連合会は10月28日(月)、東京・新宿区の東新宿本部で、拓殖大学の根本重之教授を講師に、学習会「消費と流通の今を捉え、先を読む」を開催しました。
生協の優位性と今後の可能性
生協を含め商品を消費者へ提供する流通業界は近年、大型スーパーや百貨店の閉鎖、コンビニエンスストアの合併、インターネットショッピング普及によるサービス拡充など、大きな変化が起きています。根本教授はまず、それぞれの業態の売り上げ推移を比較し、生協が好調を維持している現状を紹介し「ほかにない優位性は自信を持っていいですが、これから迎える『ディープな高齢社会』などにともなう個人消費の低迷などの将来を見通し、これまでと同じでは成長できないことを認識すべきです」と訴えました。
そこで高齢社会の進展で起きる現象に言及する一方、非顧客化しがちな若年層開拓戦略の重要性についても触れました。「人口減少社会では苦手なセグメントの放置は危険です。若年層世帯の多くは年収300万以下で経済的に生協利用は難しいかもしれませんが、実態にあわせた施策の必要性を感じます」と語りました。
2020年を見据えて
政府は2017年から、個人消費を喚起するため、月末の金曜は午後3時に仕事を終え、夕方を買い物や旅行などに充てる“プレミアムフライデー”の実施を予定しています。これに備え、一部の大手スーパー、ネットスーパーは強力なセールを予定しています。根本教授は、「マクロで起きることにアンテナを張り、こちらから稲妻のようなアイディアを出すことが非常に重要です。そのため“強制発想”する練習を組織的にしてはどうでしょうか」と提案しました。
政府はこれまで2度延期してきた消費税率のアップを2019年10月に実施するとしています。税率が8%となった2014年4月は、全国の生協で対策が奏功したといいます。根本教授は「今回も経験をいかし、今から準備すべきで、そこから2020年オリンピックに向けた躍進につなげなければなりません。前回の東京五輪にビジネスモデルやヒット商品が生まれたことから、商品づくりや新しい事業を考え始めるべきです。たとえば、今まで家庭のお母さんを中心に組み立てていた宅配事業を、お父さんや10歳代以上の子どもまで枠を広げ、家族みんなに親しまれる生協にしていくことが必要かもしれません」と解説しました。
最後に「人生に寄り添って行ける生協はものすごい力を発揮できる可能性があります。新創業するようなつもりで2020年を迎えてもらいたいです」と期待しました。
閉会の挨拶でパルシステム連合会の原秀一専務理事は、「これまでばく然と感じていたことをはっきり指摘されたことがたくさんありました。講演から学んだことを課題とし、今後きちんと考えていかなければいけません」と述べました。