「TPPを批准させない!10.31集会」開催 “資本主義を暴走させない”は世界の流れ!
2016年11月1日
パルシステム連合会が協力するTPP交渉差止・違憲訴訟の会は10月31日(月)、参議院議員会館で「TPPを批准させない!10.31集会」を開催しました。また衆議院第2議員会館前では、国民の理解が深まらないままTPPに批准しないよう求める座り込みが行われました。
いまだ3分の1しか公開されず
TPP(環太平洋連携協定)をめぐって、日本政府は早期発効を目指す考えを示しています。現在開催されている臨時国会では、批准および関連法案が審議されています。政府は昨年10月にTPPの大筋合意をした後、協定文の「暫定仮訳」を公開していますが、公開・翻訳されているのは全体の3分の1程度しかありません。
パルシステムはさまざまな団体と連携しながら、TPPの全体像の公開と、私たちのくらしや日本社会にかかわる問題や懸念について十分な議論を行うよう、訴えています。
批准を急ぐのは日本とNZだけ
参議院議員会館で開催された「TPPを批准させない!10.31集会」には、パルシステムのほか消費者や生産者、学者や学生など、予定を上回る400名の参加がありました。なかには小さい子ども連れの姿も見られました。
講演は「アメリカをはじめ各国がTPP批准できない現状について」と題し、ニュージーランドからオークランド大学のジェーン・ケルシー教授を招き、TPP参加各国の現状と今後の見通しなどについて解説してもらいました。
TPPに参加する12カ国のうち、批准の承認や国内法の整備など、国内手続きを完了させた国はありません。米国大統領選の主要候補がともにTPPへの参加に対して反対する意見を表明しており、多くの国が今後の情勢を見極めるため、手続きを2017年以降へ先送りしています。こうしたなか「日本とニュージーランドだけが国内手続きの完了を急いでいます」とケルシー教授は話しました。
世界では、TPP以外の貿易やサービスの自由化をめぐる協定も、交渉が停滞しています。米国とEU、カナダとEU、サービス業貿易協定(TiSA)など、いずれも交渉が行き詰まっています。企業が国を訴え、公平性が疑問視されている仲裁機関によって紛争を解決する「ISDS条項」に対し、多くの国が影響を懸念しています。ケルシー教授は「世界の潮流が変わりつつありますが、安心はできません」と指摘し、金融や医薬品分野を中心としたグローバル企業と米国の思惑を解説しました。
TPPにこれから注意したい3点
ケルシー教授は特に次の3点について注意を払うよう呼びかけました。1点目は「今後の6週間がTPPを左右する重要な期間である」ということです。日本が批准承認に動いているほか、米国も大統領交代の合間をぬって議会から承認を得る可能性もあります。「特に医薬品と金融は他国の状況も見極め、声を上げるべきです」との見解を示しました。
2点目は「TPPが発効しなくても、国内手続きによって変更された制度は元に戻せない」ことです。TPPにあわせた法制度の整備によって、米国はその恩恵を享受することができます。3点目は「注目すべきはTPPだけではない」ことです。TiSAなどの交渉は現在も進められており、経済だけを優先する政策に反対し続けることの重要性を語りました。
最後にケルシー教授は「TPPは雇用を奪い、格差を広げる協定であることは明らかです。それを政府は、TPPを言い訳にして非民主主義的な手続きを進めようとしています。なんとしてでもTPP批准を阻止して、民主主義を私たちの手に取り戻しましょう」と呼びかけました。
最後に山田正彦・元農林水産大臣が「世論調査では各国とも、過半数がTPPに反対しています。ひと握りの企業が国家主権を侵し、私たちの人権とくらしを壊そうとしています。いまは、世界的な潮流の転換期ではないでしょうか。資本主義の暴走を食い止める明るい希望が見えました」とまとめました。
11月4日も座り込み行動を予定
TPPの批准をめぐる関連法案が審議されているなか、国会に近い衆議院第2議員会館前を中心に連日、今国会で採決しないことを求める活動が続いています。10月28日(金)、31日(月)には座り込み行動が行われ、パルシステムの組合員など関係者も多く参加がありました。
パルシステム連合会の原秀一専務理事は「TPPは、パルシステムの理念『心豊かなくらしと共生の社会を創ります』と相反する考えに基づく協定です。消費者と生産者によって長年にわたって築き上げてきた産直を壊すような協定は、到底受け入れられません」と話しました。
座り込み活動は、与党が議会での採決を目指している11月4日(金)にも、行われる予定です。
<関連リンク>
食と暮らし、持続可能な社会を考える、生協パルシステムの情報メディア【KOKOCARA】シリーズ「子どもたちの食」より
[子どもたちの食(1)]TPPの脅威から、どうしたら日本の米を守れるのか?