パルシステム生消協が「第5回青果フォーラム」を開催 安心な食卓と産直の未来を議論

2016年10月17日

パルシステム生産者・消費者協議会は2016年10月13日(木)、東京・千代田区お茶の水ホテルジュラクで第5回青果フォーラムを開催しました。品質向上や農薬削減の取り組みなどについて現状と課題を共有しました。

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被災産地に251万円の支援金を贈呈

パルシステム生産者・消費者協議会(生消協)の野菜部会・果樹部会が主催する青果フォーラムが、10月13日(木)に開催されました。第5回目となる今年は全国各地の生消協会員産地から32産地51人の生産者と、パルシステムグループの役職員17人の68人が集まりました。

生消協はパルシステムに農畜産物を供給する生産者と、組合員が対等な立場で協議し、活動する場として1990年にスタートしました。同じ「生活者」として連帯を深め、よりよい産直をめざしています。2016年度は産地ごとに「産地ビジョンづくり」をすすめています。

大津清次パルシステム生消協代表幹事(無茶々園・愛媛県)の挨拶で開会し、生消協で独自に取り組んだ「熊本震災カンパ」ついて報告がありました。寄せられた金額は総額251万7千円におよび、4つの被災産地へ振り分け、現地で贈呈式を行いました。大津代表は「現地に行って被害状況の深刻さがよくわかりました。異常気象が深刻さを増すなど、農業を取り巻く環境は厳しいですが、それでも我々は種をまいて刈り取らねばなりません。今日は課題を把握し、ともに行動しましょう」と会場へ投げかけました。この日は特別報告として、台風被害の大きかった大牧農場(北海道)より、冠水などの影響による、にんじんやじゃがいもの品質不良について写真で説明がありました。

司会を務めた、鳥居啓宣果樹部会長(ジョイファーム小田原・神奈川県)、嶋田清治野菜部会長(村悟空・千葉県)は「高齢化が進み、TPPの影響も懸念される中で、明日の食べ物はどうなるのでしょうか。国内生産と消費の循環はどこまで、いつまで可能なのでしょうか。私たち生産者は先を見て何をすべきか、積極的に議論しましょう」と話し、2014年から始まった、新たな「エコ・チャレンジ」基準導入による変化や課題について参加者に意見を求めました。新基準の「エコ・チャレンジ」は、農薬削減プログラムを見直し、従来以上に人や環境に配慮した内容となっています。

パルシステムの産直 独自の栽培基準「コア・フード」「エコ・チャレンジ」とは

「誰のためのエコ・チャレンジなのか」

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会は2部制で構成され、第1部は組合員の代表からなる消費者運営委員会より「2016年度品質向上プログラム」として、御坂うまいもの会(山梨県)で実施したフィールドワークについて報告がありました。桃とぶどうのほ場、選果場、倉庫視察を行い、クレーム発生の経緯を分析し、出荷基準の確認や生産者との意見交換を行いました。

第2部ではエコ・チャレンジについて考える場を設けました。パルシステムの農産物の仕入れ・販売を行う㈱ジーピーエスより、新エコ・チャレンジ基準の経過を説明した後に、生産者への事前アンケートをもとに、導入後の課題や各産地の思いが報告され、会場の参加者で総合討論を行いました。

会場からは「誰のためのエコ・チャレンジなのか。それぞれの立場で、もう一度よく考えたい」「国内生産者、そして生産物も全体的に減少しているなか、今はもとより、10年先のパルシステムに思いを馳せなければ」「生産者の努力が価格に反映されないことは悲しいので検討を」「パルシステムは産地と問題を共有し対話できる関係を構築している。今後もこの関係を継続し、産直の価値を高めていきたい」「エコ・チャレンジを広め、利用が普及するための手法にはさまざまあると思う。広報の打ち出し方を研究するなど、消費者と生産者だけでなく、職員との連携も必要」など、熱のこもった発言が多くありました。

まとめとして堀口貞夫幹事(サン・ファーム・長野県)は「20年以上前から、生産者と消費者がともに話し合い、すすめてきた農薬削減・品質向上の取り組みは、ほかの生協にはないパルシステムの財産です。新エコ・チャレンジとして基準化し、慣行栽培より労苦の多い道を、大小の産地があるなか、みなで歩んできました。交流などを通じて、産地同士が支えあい、より多くの組合員に伝えていきたいです」と話し、今後を展望しました。