「地域づくり基金報告会」を開催 持続可能な社会づくりに取り組む5団体が発表
2016年8月3日
パルシステム連合会は、東日本大震災からの復興や持続可能な地域社会づくり(コミュニティの再生)に貢献することを目的に、地域づくり基金を助成しています。2015年度は、78団体へ総額1,515万1,000円を助成しました。
7月29日(金)東京・新宿区の東新宿本部で「地域づくり基金報告会」を開催し、2014年度に助成したなかから5団体を招き、活動を紹介しました。発表団体と報告の概要は、以下のとおりです。
「グリーンツーリズム等交流事業『森のひびき』計画」特定非営利活動法人里山再生と食の安全を考える会(茨城)
荒廃した森林を里山体験のベース基地「森のひびき」として整備する事業に活用しました。杉林に孟宗竹(もうそうちく)が侵入して荒廃していた予定地で、侵入竹や不要木を伐採、整地し、遊歩道や「森の鐘」などを設置しています。2016年3月に開園式を開催することができました。
「森のひびき」を会場に、東日本大震災から中断していた体験企画「きのこの学校」を再開しました。今後は、きのこの学校だけでなく「きのこづくり教室」「里山いきもの教室」なども開催し、地域活性と里山保全につなげるようなグリーンツーリズム事業を実施していく計画です。生協組合員だけでなく、幅広い参加へと広げていきたいと考えています。
「循環型農業及び有機農産物理解のための食育活動」株式会社ちば風土の会(千葉)
交流拠点「ふーどハウス」建設費用の一部に活用しました。集荷場の隣に食品加工や調理ができる機器を設備した建物を建設しました。パルシステム組合員及び役職員との交流企画として、収穫体験後のみそ作りや料理提供、地元住民との加工商品開発、有機農業講習会の会場として使用しています。
地元開催の大規模イベント、ウォークラリーでは、ふーどハウスで調理した菓子と有機栽培の麦茶を、道を歩く参加者へ提供し、たいへん喜ばれました。まだパルシステム関連の企画が大半を占めていますが、今後は地域で活動するNGOなどとも連携を深め、有機農業や環境保全への理解を深める拠点として活用していきます。
「波伝の森山学校」波伝の森山学校合同会社(宮城)
宮城県南三陸町における森林資源を活用した震災復興に取り組んでいます。助成は、森林保全に必要な間伐を作業に使用する林内作業車の導入や、木質バイオマスペレットストーブ普及を呼びかけるPRイベントへの参加費用として使用しました。
間伐材の搬出は、手作業ではどうしても非効率で、作業員の危険もつきまといます。山林のなかには、所有者の経済的理由から山ごと売却し、盛り土として運ばれてしまうケースがあります。こうした土地は、跡地に何も生えません。ずっとこの地でくらしていくためにも、森林の持続可能な活用を広げていきます。
「涸沼生態系再生プロジェクト」涸沼生態系再生プロジェクト(茨城)
高度経済成長期の開発によって水質が悪化した汽水湖、涸沼(ひぬま)の生態系再生プロジェクトとして、湖岸の藻場の整備や調査・研究費用、地元高校の学習費用などに活用しました。
涸沼は、戦後の干拓事業で浅瀬がなくなり、工業・生活排水などが流れ込むことでヘドロが堆積するようになり、生物の多様性が失われてきています。プロジェクトでは、竹柵の設置と、それによって水質及び湖底にもたらされる効果の調査などを実施しました。地元高校での環境学習では、学生の関心も高まっています。涸沼の豊かさを若い人へ伝え、活動を広げていきます。
「地域の再生可能エネルギーを活用した環境教育事業の推進」特定非営利活動法人いわき環境研究室(福島)
再生可能エネルギーの学習設備として、福島県いわき市内に太陽光、風力、水力の3種類を体験する学習施設を設置しました。ハード面での施設の整備と並行し、ソフト面では学習プログラムの開発を進めました。
施設の設置によって、小学校などでの環境学習の支援を効果的に進めることができるようになりました。また、小学校にとどまらず、地域の環境団体などとの連携が深まっています。地域にとって再生可能エネルギー学習のシンボルとすることができました。いわき市は、地熱やバイオマスなどの資源も期待できる地域です。活動領域を広げ、再生可能エネルギーへの関心が高まるよう、活動していきます。