サヘル・ローズさんらと考えた「知る」「伝える」ことの大切さ 「ピースフェス2026」に約150人〔東京〕
2026年7月10日
スマホの向こうにある世界を自分事に
生活協同組合パルシステム東京(本部:新宿区大久保、理事長:西村陽子)は7月4日(土)、本部会議室で参加者と共に平和の大切さを考える「ピースフェス2026」を開催しました。会場とオンラインで約150人が参加し、イラン出身のサヘル・ローズさんやウクライナ出身のトロプチン・ニキタさんたちと共に、世界で起きる戦争や分断で傷を負い、困難な状況に置かれる人たちに心を寄せることの大切さを考えました。
報道されない世界の困難
会場には、パルシステム東京が利用者に「平和カンパ」を呼びかけ連携する7つの国際協力NGOが集まりました。アフガニスタンやイラク、タイ、カンボジアなどの各国で、戦争や紛争をはじめとする困難な環境下で、教育や医療、生活環境の改善など現地で必要とされる支援を長年継続している団体です。
各団体はそれぞれ、支援する国や地域の人たちが置かれる環境やさまざまな困難に向き合う状況を紹介し、利用者の募金などを基に、現地で実現してきたプロジェクトを報告しました。活動地域の文化やニーズにまつわるクイズなども交え、支援を必要としながらも、たくましく生きる人たちの日常を伝えました。

▲7団体が各地域での支援活動を報告

▲クイズも交え各団体のプロジェクトを紹介
会場内では各団体が、支援する国や地域の民芸品や物産を持ち寄り「ワールド・バザール」を開きました。現地の人々が作った小物やアクセサリー、お茶などの売り上げは、各団体が支援国でのプログラムに活用します。民族衣装の試着コーナーなども設けられ、支援地域の文化を体験する参加者も見受けられました。日々のニュースなどでは伝えられない、各地の「今」を各団体の視点から参加者に紹介しました。

▲民族衣装の試着体験コーナーも

▲支援地域の民芸品などを販売
あふれかえる情報の中から知るべきこと
クロストークに登壇したのは、イランで4歳の時に戦争孤児となり、8歳で養母と共に来日したサヘル・ローズさんと、ウクライナで育ちロシア侵攻の半年後、18歳で留学してきたトロプチン・ニキタさんです。平和カンパの寄贈先のひとつJIM-NET(東京都新宿区)で代表を務める崔(さい)麻里さんの進行で、イランとウクライナの現状をさまざまな視点から伝えました。
サヘルさんは、自身は幼かったことで来日するまでの環境の変化に適応できた一方、ニキタさんは祖国で将来のビジョンを構築するなか、侵攻でそれらが一瞬で崩れ去り、家族を残し1人で来日した状況に心を寄せ言葉を投げかけます。
ニキタさんは、友人には祖国に残り戦場へ向かう人もいるなか、たまたまSNSでつながった日本の友人の存在により、留学という自身の選択ができたと話します。「祖国に留まっていればボランティアなどの支援もできたけれど、中学生の頃から日本語を学びつながりができたからこそ、今の自分は日本にいてウクライナの現状を伝えるのが最もできることです」と各所でメッセージを伝えていると紹介します。
サヘルさんは、ここ数週間で攻撃が激化するウクライナの状況を伝えない報道のあり方に疑問を呈します。ワールドカップやオリンピックなどに世界の関心が向かう時ほど、世界中の戦況が悪化することに着目し、メディアが視聴率に気を取られ、報道すべきことが伝えられない現状を危惧します。
ニキタさんは、人間は本来、SNSなどであふれかえる情報を全て受け止めるために作られた生き物ではないと話します。自分の頭で考え、肝心な事や正しい情報を受け止める感性が必要だと訴えます。ロシアの侵攻をはじめ、戦争は人々が無関心になったときに為政者の独裁を許してしまい始まると伝え「今の日本も80年前の固い不戦の誓いが薄れ、ネコがひっかけばすぐに破れてしまう障子紙のような平和です。美しい障子紙をそのままに、大切にしてほしいです」と現状を知ることの大切さを話しました。

▲左からサヘルさん、ニキタさん、崔さん
かさぶたはがし伝える平和の意味
サヘルさんは、被爆者や戦争の経験者をはじめ、ニキタさんのように外から見えない心の傷のかさぶたをはがしながら、戦禍の悲惨さを伝える人たちの犠牲を無駄にしてはいけないと訴えます。
「今の日本は左右どちらかという話になりがちですが、自分の人生を語ってくれる人たちに正解はなく、できることをしているだけで、考えはみんな違っていいはずです」と話します。イベント参加者の受け止め方もそれぞれで、大切なのは今日をきっかけに知ったことを持ち帰り、何をするのかだと伝えます。
「平和カンパ」のように誰かの人生に対する優しさやお節介の輪を広げ、自分の幸せをおすそ分けして周囲3mから変えて行ってほしいとメッセージを伝えイベントを締めくくりました。

▲ニキタさん(中央)とサヘルさん(中央右)を囲む会場参加者
2025年度は1,300万円超で平和に向けた活動を応援
パルシステム東京は1996年から、貧困や飢餓、紛争に苦しむ世界の子どもを支援する団体を資金面で応援するための「平和カンパ」を呼びかけています。2025年度は1,363万4,251円が利用者から寄せられ、7団体による世界の子どもたちの支援活動に活用されました。
故中村哲医師による、アフガニスタンでの灌漑事業に取り組むペシャワール会(福岡市中央区、原祐一代表)や、カンボジアの乳幼児栄養改善のため活動するNPO法人シェア=国際保健協力市民の会(東京都台東区、仲佐保代表)など、現地住民のニーズに寄り添い長年活動を継続する団体が対象です。
▼2025年度活動レポート
https://www.palsystem-tokyo.coop/report/187202/
「ピースフェス」は毎年開催しており、利用者が毎日の暮らしのなかで、当たり前ではない平和を改めて考えるきっかけづくりをしています。
▼2025年度セイン・カミュさんを招いたピースフェス
https://www.palsystem-tokyo.coop/report/179140/
パルシステム東京はこれからも、利用者とともに世界で起きるさまざまな課題を自分ごととして捉え、平和な社会の実現を目指していきます。