障害者アートリースで広がる活躍の場 川崎市宮前区と麻生区の配送拠点で披露目会〔神奈川〕
2026年5月20日
地域の居場所でアート鑑賞
生活協同組合パルシステム神奈川(本部:横浜市港北区新横浜、理事長:藤田順子)は5月12日(火)と13日(水)、川崎市の配送拠点宮前センターと麻生センターで障害者アートの展示「パル・アート」の披露目会を開催しました。神奈川県福祉こどもみらい局や行政の支援センター、地域の大学など多様な連携団体が参加し、障害者支援団体と共に個性あふれる作品を囲み、アーティストたちと交流しました。
アートでつながる多様な地域団体
「パル・アート」は2026年3月、新横浜本部で初導入した、障害者の活躍の場創出を目的とするアート作品展示の仕組みです。県内各拠点での設置を目指し、このたび2つの配送センターが、地域内の支援団体と新たに年間のリース契約を結びました。両センターは毎月会議室を開放し、健康マージャンなど居場所づくりのイベントを開催しています。多くの地域住民が鑑賞できるスポットとして、全13配送センターに先行して導入しました。

▲開始の経緯を説明する朝倉課長(左)と坂井職員(右)
両センターの披露目会では、司会の採用育成課の坂井洋介職員と朝倉和男課長が、パルシステム神奈川の2030年ビジョン「だれもが認めあい、ともにいきる地域づくり」を実現するため、障害のある人の活躍の場を広げる「パル・アート」展示の仕組みを開始したことを紹介しました。3カ月ごとに作品を入れ替え、センターを訪れる利用者や職員が多様な作品を楽しみ、障害者の継続就労につなげます。
「パル・アート」の趣旨を紹介する看板は、県の助言を受けNPO法人横浜移動サービス協議会(横浜市中区長者町、服部一弘理事長)が運営する就労継続支援B型事業所 IKIIKIカンパニー(横浜市中区長者町)のアーティスト竹千代丸さんに制作を依頼しました。宮前センター敷地内の竹を材料とし、環境配慮と創作の連携による地域資源活用にもつなげています。看板は、6カ月ごとに入れ替え継続就労と資源循環につなげます。
入替を待ちきれないアーティストも
宮前センターでは、社会福祉法人ともかわさき(川崎市中原区、桑原賢治理事長)の生活介護事業所「ひらま」で活躍するアーティストの作品が披露されました。
「ハート」を制作した斉藤美紀さんは「かわいいものと紫色が好きなので、海の青とハートの赤で紫になるよう描きました」と作品を説明しました。童話の登場人物がちりばめられた「ガリバーを探せ」は、稲葉春実さんが描いたもので、絵のタッチが好評を得ていることを紹介しました。「かわいい子猫ちゃん」は根津薫さんの作品で「足跡を描くのが難しく、指と筆の根元を使って仕上げました」と創作の工夫を教えてくれました。

▲アーティストの竹千代丸さん(左端)根津さん(中央左)斉藤さん(中央)稲葉さん(中央右)
ひらま管理者の髙嶋直美さんは「40人のアーティストたちと積極的に創作活動し、多くの人が芸術に触れられるよう『まちかどパラアート展』を開いてきました。アートリースで作品を紹介する機会は初めてで、もうすでに3か月後の作品入替を楽しみにしているアーティストもいます」と「パル・アート」への期待を語りました。
川崎市の障害者雇用の窓口である企業応援センターかわさき所長の荒木伸義さんは「川崎でのアートリースは初めてで、個性あるアート展示や竹の看板製作はとても興味深いです。直接雇用とはまた違う形で、宮前・麻生センターに紹介した『ひらま』や『たまフレ!』の皆さんと共に展示活動を広げてください」と応援のメッセージを伝えました。
交流では株式会社WALAが運営する就労継続支援B型事業所はたけベーカリーのパンが振る舞われ、同事業所のはたけワークで生産したいちごパウダーを使った揚げパンなどおすすめが紹介されました。IKIIKIカンパ―ニーで制作した「竹あかり」や建築現場で廃棄される壁クロスを活用した作品も展示され、各団体の活動を伝え合いました。

▲はたけベーカリーのおすすめを紹介

▲竹や廃クロス材を活用した作品を展示

▲宮前センター展示の6作品を囲む参加者一同
米袋を活用したSDGsアート
麻生センターでは、たまふれあいグループ(川崎市多摩区、鈴木忠代表)が運営する就労支援事業所「たまフレ!」で活躍するアーティストの作品を展示します。同団体は、計画相談支援や就労継続支援B型、生活訓練や就労移行支援など、一人ひとりのステージに合わせた多機能型の支援をしています。
活動内容は企業から依頼される作業が中心で、たまふれあいグループのグループホームで使用する米を精米して届ける作業もあります。米袋が大量に余るため、トートバックなどを作った所、絵の具の重ね塗りにも強い素材だと気が付きました。
たまフレ!就労支援員の澤愛美さんは「偶然でしたが、SDGsの観点にもつながり、低予算のアート資材として活用できました」と、3年前に開始した米袋アートをきっかけに、創作活動の輪が広がり多様なアート制作につながっていることを紹介しました。
麻生センターで定期開催する健康麻雀にちなんだ「麻雀ハイを混ぜる手」は、佐藤さんの作品です。「麻雀はいろんな人が変わりばんこで遊ぶので、おじいちゃんやおばあちゃん、若い人などいろいろな手を描きました」と力を入れた点を話します。「ダイヤモンド富士」を描いたアーティストは「伊豆の友達と行った、家族旅行の風景を思い出して描きました。最初に自分でテーマを決めておくのが大切です」と制作の秘訣を教えてくれました。

▲いろいろな手を描いた佐藤さん(左)

▲澤さん(左)と旅行の思い出を描いたアーティスト(右)
新横浜本部を含む披露目会3会場ともに参加したIKIIKIカンパニーのサービス管理者星野英俊さんは、竹千代丸さんと一緒に試行錯誤して制作した竹看板のエピソードを紹介しました。古代中国の紙が無かった時代に使用していた竹簡(ちくかん)をモデルに、宮前センターでの伐採から始め、漆塗りや決まった幅での文字入れの苦労を話しました。
星野さんは「たまフレ!の米袋を活用したアートは、廃クロス材の作品制作と共通します。障害のある人の素晴らしい表現力をSDGsのテーマで伝え、いろいろな人の手に取ってもらえると嬉しいです」と話しました。

▲竹の間伐材で制作した「パル・アート」看板


▲麻生センターに展示するアート作品を囲む参加者一同
雇用調整金活用し更なる活躍へ
リース代金は、障害者雇用調整金を活用します。パルシステム神奈川は、法定雇用率で定める13人を超え、21人の障害のある職員が活躍していることで支給される給付金です。県内の各事業所を訪れる人たちに「パル・アート」を紹介する資金とし、障害者の更なる活躍の仕組みを作っていきます。作品の交換時にも調整金を活用し、今後各拠点で契約する支援団体に作業を依頼します。
パルシステム神奈川はこれからも、地域に暮らす多様な立場の人たちと手を取り合い、誰もが活躍できる地域社会づくりを目指していきます。