オリーブ原産地パレスチナを知る 占領下の産地に起きていること

2024年12月16日

役職員68人が参加し学習会

パルシステム連合会(本部:東京都新宿区大久保、理事長:大信政一)は12月12日(木)、学習会「パレスチナ問題の歴史的経緯・現状とオリーブ生産者の今」を開催しました。パレスチナのヨルダン西岸地区は、パルシステムで取り扱っているオリーブオイルの産地でもあります。産地の現状を中心にこれまでの歴史的経緯や問題点を知り、当地の数少ない収入源であるオリーブオイルを購入する意義について考えました。

高さ8mの分離壁で農地入れず

講師には、パレスチナ産オリーブオイルを輸入するパルシステムの関連会社、株式会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ、本部:東京都新宿区大久保、社長:山下万里子)の広報室から小林和夫さんを招いて開催され、パルシステムグループの役職員68人が参加しました。

パレスチナでは、戦闘が続くガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地区でもイスラエル軍や入植者の暴力で多くの犠牲が生まれています。この1年間でも1千人近い命が奪われ、8千人が強制立ち退きを余儀なくされています。イスラエル政府は、収奪した土地に入植地を建設する政策を続け、居住するイスラエル人は1993年のオスロ合意以降の30年で6倍の人口に増加しています。

入植地の周囲には高さ8メートルの分離壁が建設され、占領によって飛び地状態になったパレスチナ人の往来を阻んでいます。三重県とほぼ同じ面積のヨルダン川西岸地区には検問所が700カ所設けられており、人の移動が厳しく制限されている状態です。オリーブ産地では、入植者による暴力への恐怖や分離壁の往来禁止により収穫できない農地が多数発生し、2023年は4割の畑で収穫ができませんでした。状況は好転せず、収穫期を迎えた今年も、多くの農地で収穫ができないことが懸念されています。

▲入植地を囲む分離壁

パレスチナはオリーブ原産地の一部で、数千年にわたって栽培されています。GDPの14%を占める主要作物でもあり、農家にとっては数少ない現金収入源の一つです。小林さんは「パレスチナ産オリーブオイルの購入で『忘れていない、心配してくれる人が日本にいる』メッセージになっている」「占領下の土地にとどまり収穫したオリーブオイルを届けたい」といった出荷団体代表や生産者の言葉を紹介しました。

▲ATJ小林さん

小林さんは「パレスチナ問題は、宗教問題ではなく土地と人権の問題です。オリーブは、不法な占領への抵抗と忍耐のシンボルでもあります。パレスチナの人々が尊厳をもって生きられるよう、オリーブオイルの購入で応援してください」と訴えました。

オリーブオイルと石けんを4週に1回取り扱い

パルシステムでは4週に1回の頻度でパレスチナ産のエキストラバージンオリーブオイルと、オリーブオイルの石けんを販売しています。オリーブオイルは、スパイシーな味わいと豊かな香りが特徴で「塩を足さずにそのままでもおいしい」「サラダをもりもり食べられる」など好評です。石けんも「肌がつっぱらず心地いい」「やさしい香り」などの口コミが寄せられています。

▲パレスチナでは農地面積の54%がオリーブ

現地とつなぐオンラインセミナー12/19(木)

ATJでは12月19日(木)、パレスチナとオンラインでつなぐオンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今 2024」を開催します。オリーブオイル出荷団体の代表とつなぎ、収穫の状況や生活の現状などについて報告してもらいます。

詳細はこちら
https://altertrade.jp/archives/32342