終わり見えないトルコ・シリアでの奮闘 地震募金で報告会
2023年11月14日
パルシステム連合会は11月13日(月)、今年2月に発生したトルコ・シリア地震の緊急支援募金で、贈呈した団体による報告会を開催しました。呼びかけた募金はのべ9万2千人から9千7百万円が寄せられ、物資のほか医療や子どものケアなど被災した人々の生活維持に役立てられました。
復旧進まぬまま厳しい冬へ
報告会は、認定NPO法人国連UNHCR協会、認定NPO法人国境なき医師団が会場で、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンはオンライン、公益財団法人日本ユニセフ協会、一般社団法人ピースボート災害支援センター、認定NPO法人AARJapan[難民を助ける会]、認定NPO法人ADRA Japan(アドラ・ジャパン)の4団体はビデオメッセージで報告しました。
トルコ、シリア両国の被災地では、いまだ多くの避難者が先の見えない生活を送っています。大半の地域で復旧が進まないなか厳しい冬を迎えようとしています。発表した各団体はいずれも、パルシステムの支援に感謝するとともに、復旧、復興活動が終わっていないことを伝え、支援の継続を呼びかけました。
報告要旨は以下の通りです。
「権利回復や人身売買防止に注力」国連UNHCR協会
政治的に複雑な事情を抱える地域での震災のため、いまだ復興がままならない状況が続いています。トルコやシリアでは、仕事や住居を失った被災者の権利回復や、女性や子どもへの暴力・性的搾取を防止する活動にも注力しています。ニーズを把握し地元で活動するNGOと連携しながら支援を継続しています。
「シリアはいまも空爆続く」国境なき医師団
支援は医療提供がメインですが、今回の震災では物資も積極的に提供しました。特にシリアの被災地域は、反政府勢力の影響下にあることから政府の支援が期待できないばかりか、空爆も続いています。現地には情報も届かず、孤立するところも少なくありません。今後はシリアでの活動を強めていく予定です。
「教育なければ児童労働リスクに」セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
被害を受けた地域が広いためがれき撤去も続いており、健康面、環境面の被害が懸念されています。教員の避難や親の経済困窮などにより教育機会が急激に減少し、児童労働のリスクは高まっています。子どもや女性にとって安全な空間の設置や学びのスペースの運営などにより、居場所づくりを強めています。
「村落部へ直接物資届ける」AARJapan
被害が大きく支援が届きにくい村落部を中心に、直接支援物資を届けています。これまで9万5千人に支援を届けることができました。厳しい冬が間近に迫ったいまもコンテナやテントで避難生活を強いられている避難民が多く、不安の声が届いています。
「一時的学習センター設置など」日本ユニセフ協会
災害発生直後から水や衛生キットといった命を守る物資の配布に加え、予防接種や心理・社会的ケアの提供、一時的な学習センターの設置など支援することができました。引き続き、トルコとシリアの子どもたちとその家族へ心を寄せてください。
「水道や学校の修理で寄り添う」ADRA Japan
食料セットや衛生用品、清掃用具やシャワー設備など、両国あわせてのべ30万人以上に支援を届け、生活を支えることができました。そのほか水道や学校の修理、仮設住宅の整備にも活用しています。1人ひとりに寄り添う活動ができていることに感謝しています。
「心理サポートや法律相談の拠点」ピースボート災害支援センター
トルコ南部で支援活動を実施しています。初期は炊き出しと緊急支援物資を提供し、子どもたちへノートや鉛筆をはじめとする学用品も提供しました。現在は、現地のNGOと協力し心理サポートや法律相談などの拠点運営を支援しています。今後の災害に備えた防災ワークショップも予定しています。