「忘れてないよ」も伝えたい 原発事故被災者応援金25団体へ1,890万円

2023年6月26日

パルシステム連合会は、利用者からの募金などを活用した「東京電力福島第一原子力発電所事故被災者応援金」の2023年度配分先を決めました。助成総額は1,890万6,600円で、甲状腺検査や避難者交流会、保養などの活動にかかわる25団体へ贈呈します。

終わっていない原発の被害

パルシステムの利用者から寄せられた募金は、2022年4月1日~2023年3月31日までの受け付け分で総額556万9,672円となりました。ご協力ありがとうございました。応援金は、これにパルシステム共済連からの寄付金154万4,800円と前年度繰越金1,247万8,505円などを合算し活用します。

配分先は、パルシステムグループから推薦された25団体へ合計1,890万6,600円となりました。助成先の各団体は、被災者や避難者を対象とした保養活動や甲状腺検診といった支援のほか、原発事故を語り継ぐシンポジウムの開催費用などに活用します。

助成先となった団体の一部を紹介します。

甲状腺検査の運営や報告会「Annakaひだまりマルシェ」
NPO法人Annakaひだまりマルシェは「子どもたちにとって」という立場に立ち「いまできることを積み重ねていこう」と考えた専門家や市民が活動しています。応援金は、2015年から実施している小児甲状腺エコー検査の運営、広報にかかる費用や、報告会の開催費用などに活用されます。

甲状腺検査のようす

原発事故のストレス語るシンポ「震災ストレス研究会」
震災ストレス研究会は、震災や原発事故の被災でストレスを受けた人々が体験を語ることで自身のトラウマや苦難を乗り越える一助として、語りあうシンポジウムの開催を支援してきました。2023年は10月に3回目を予定し、応援助成金は、講師謝礼や交通費、広報・記録などの運営費に活用されます。

語り合うことがトラウマから乗り越える一助に

配分先団体と助成対象は以下のとおりです。
1) 認定特定非営利活動法人いわき放射能市民測定室たらちね
甲状腺検診実施のための会場費・人件費・検診費等の運営経費。2023年度は、500名~600名程度を検診対象とする。
2)認定特定非営利活動法人FoE Japan
保養に関連する野外活動諸費用やPCR検査費用(参加者全員分)、また福島県内外避難者の子ども(小5~高3まで)とその家族対象の水俣・長崎学習旅行の旅費や宿泊費等運営費用。
3)特定非営利活動法人 3.11甲状腺がん子ども基金
原発事故当時18歳以下で放射性ヨウ素拡散地域(1都15県)に居住しており、その後甲状腺がんと診断された方々の療養費。生活の質改善の取り組み支援、精神的経済的負担を強いられる家族の支援など。
4)特定非営利活動法人新宿代々木市民測定所
ゲルマニウム半導体測定器のラニングコストと放射性物質測定業務に関わる経費(原発から放出予定のアルプス処理水の影響をみるための海水の運賃やその他検体代金など)。
5) 認定特定非営利活動法人Dialogue for People
被災地が抱える問題を我が事として捉え直すきっかけづくりのため、福島県内での取材やメディア発信の諸費用。また、中学生~大学生を対象とした東北オンラインスタディツアーの映像アーカイブ化やレポート発信のための費用。
6)特定非営利活動法人ハートフルハート未来を育む会
福島県内に住む子どもや保護者対象の、心のケアを中心とした親子遊び・親ミーティングに対する心理士・保育士の派遣費。また支援者のスキルアップを目的とした勉強会等の講師謝礼。
7)特定非営利活動法人 ふよう土2100
郡山市内の支援学校や支援学級に通う子どもとその家族を対象に、いわき沿岸の現状を知る訪問事業、自然農業体験事業、アート体験事業「ひかり☆みんなのアトリエ2023」開催の諸費用。
8)モニタリングポストの継続配置を求める市民の会・三春
2023年10月に予定している学習会開催にあたり発生する講師への謝礼や、講師旅費・宿泊費、案内チラシの製作・印刷費や運営ボランティアの謝金などの運営経費。
9)震災ストレス研究会
震災や原発事故の被災によりストレスを受けた人々が、自身の体験を語るシンポジウム第3回開催(10月予定)にあたり、講師謝礼や交通費、広報・記録・その他運営費。
10)福島の子どもたちとともに・湘南の会
福島の親子を対象に、保養費用の補助のほか、「さがみ生協病院」への健康検査のための旅費、感想文集作成費や、講演会や上映会などの経費。
11)福島の親子とともに・平塚
長期休暇中の保養受入にかかる費用や、自主保養への補助金、被ばく関連の講演会経費、神奈川県内の避難家族への生活支援、訴訟団支援会会費、その他運営費用。
12)福島子ども・こらっせ神奈川
8月に神奈川で開催予定のリフレッシュプログラムのバス代や宿泊費等と、こらっせユース対象「福島応援・スタディツアー」のバス代や宿泊費、ガイド依頼の費用。
13)ごえんのちから
震災や原発事故被災地をまわる「現状視察ツアー」(組合員を含む20名を想定)の交通費や宿泊費、東日本大震災をテーマとし被災地の物産などを扱うイベントの運営費。
14)東日本大震災復興支援松戸・東北交流プロジェクト
避難者交流会の運営費や光熱費諸費用のほか、出張防災井戸端会議諸企画の運営費、サロン運営のための広報物や「みらいフェスタ」への出展料・スタッフ謝金など。
15)さいたま共にあゆむ会
被災者や避難者の居場所づくりや交流会等の運営費、被災地スタディツアーの運営や被災者の声を可視化し発信するための広報紙発行の費用、事務機材の購入費など。
16)一般社団法人ふうあいねっと
当事者グループの活動資金の一部助成に活用するほか、当団体スタッフとの交流企画のための、チラシ製作費や旅費などの運営費用。
17)元気つく場会(つくば圏浪江町民避難者の会)
避難者同士の交流会や福島県内のバスツアー(計年9回予定)や、避難者への戸別訪問にかかる人件費や交通費に活用。
18)じゃぁまいいかねっと
年3回予定している避難者同士の交流会の会場費や講師料などの運営費や、これまで交流のあった方への近況確認のための郵送費など。
19)特定非営利活動法人 フュージョン社会力創造パートナーズ
年4回予定する避難者同士の交流会の参加費以外の運営費補助や、戸別訪問活動にかかる人件費および交通費。
20)東日本大震災・山梨県内避難者と支援者を結ぶ会
避難者や支援者約150人が参加する全県避難者交流会の運営補助のほか、ひとり親・高齢者困窮世帯支援や地域交流サロン運営費助成、事務局運営費。
21)特定非営利活動法人Annakaひだまりマルシェ
3.11事業として取り組まれる「小児甲状腺エコー検査」に関するチラシ製作や広報費、検査会場費や検査技師への謝礼のほか、報告会の講師謝礼や広報関連費用など。
22)ECO village SHELTER project
森での自然体験を通じたリフレッシュが目的の保養キャンプの開催、および保養を目的とした森の野営利用の受入れに関する食材や備品の費用、企画運営費など。
23)TEAM毎週末みんなで山形
豊かな自然の中で心身のリフレッシュを図るため、コロナ対策を行い短期で実施する小規模保養に宿泊費や交通費などの費用。
24)一般社団法人 ピースボート災害支援センター
8月に行う、南相馬市の中学生を対象の4泊5日「広島・夏のピーススタディ」の交通費や宿泊費、講師謝礼などの諸経費。コーディネーター含め計11名が参加想定。
25)サムライフェス実行委員会
南相馬市民や高校生が中心の実行委員会が開催する「サムライフェス」の運営費用(郷土芸能参加者への謝金や広報費用、ボランティアへの活動費、会場運営費ほか)。