川内原子力発電所の再稼働に抗議し、原子力発電所の無い安心して暮らせる社会を求めます
2015年8月13日
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、私たちパルシステムグループは理念に基づき、脱原発、再生可能エネルギーの推進、原発被災者支援などの活動に取り組んできました。未だ収束していない福島第一原子力発電所の事故がなかったかのような今回の再稼働に対し、私たちは強く抗議するとともに、原子力に頼らないエネルギー政策に転換することを求めます。
2015年8月13日
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、私たちパルシステムグループは理念に基づき、脱原発、再生可能エネルギーの推進、原発被災者支援などの活動に取り組んできました。未だ収束していない福島第一原子力発電所の事故がなかったかのような今回の再稼働に対し、私たちは強く抗議するとともに、原子力に頼らないエネルギー政策に転換することを求めます。
代表理事 理事長 石田 敦史
私たちパルシステムグループは、「心豊かなくらしと共生の社会を創ります」という理念に基づき、食と農、環境、平和など、人々のくらしや命を守る様々な活動に取り組んでいる生活協同組合の連合会です。私たちは、2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、脱原発、再生可能エネルギーの推進、原発被災者支援などの活動に取り組んできました。
8月11日、九州電力は川内原子力発電所の一号機を起動し、新規制基準の導入後初めてとなる再稼働に踏み切り、14日に発電と送電を開始しようとしています。未だ収束していない福島第一原子力発電所の事故がなかったかのような今回の再稼働に対し、私たちは強く抗議します。
1.規制基準や対策が不十分であり、周辺住民の安全が担保されているとは言えません。
政府は、免震重要棟もベントフィルターもない新規制基準を「世界で最も厳しい規制基準」としています。この新規制基準は、同型の原子炉である高浜原子力発電所の運転差止訴訟判決の中で「合理性を欠く」などと指摘され、適合しても「安全性は確保できない」とされました。基準そのものが不十分であることが司法によって明らかにされています。
原子力発電所事故では被害を受けた地域の特定は困難であり、極めて広範囲に及ぶ可能性があります。川内原子力発電所において、住民避難計画も火山噴火対策も無いに等しく、行政をはじめとした対応も多くが未整備のままです。不十分な基準、不十分な対策では、周辺住民の安全が担保されているとは言えません。
2.原子力発電所の再稼働に対する、国や自治体、電力会社などの責任体制が曖昧です。
安倍首相は「世界で最もきびしいレベルの新規制基準」に適合する原子力発電所を「地元了解の上で運転を順次再開していく」との方針を示していますが、政府は繰り返し「再稼働は事業者の判断」として、その責任を国ではなく事業者に押し付けています。また、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「(再稼働の判断について)規制委が判断しなければいけない理由は何もない」(8月5日発言)として、原子力規制委員会は再稼働の可否の判断に責任を負わないとしていしています。
一方、地元自治体もこれまで「国が安全と認めた原子力発電所」の再稼働には同意するとしており、自治体自らの判断と責任を回避しています。事故が起こった時の責任を、誰もが巧妙に回避している曖昧な責任体制の中で、今後も再稼働が行われる事に対し、強い危惧を覚えます。
3.国は福島第一原子力発電所事故の被災者支援に力を入れるべきです。
福島第一原子力発電所の事故は収束していません。現在でも10 万人以上の人たちが故郷を失い、長期にわたる避難生活を強いられています。この事故は、生命や身体に対する被害に加え、地域の経済的、社会的、文化的な基盤を根こそぎ崩壊させるという取り返しのつかない悲惨な被害をもたらしました。現在でも放射能による汚染は終わっておらず、住民のくらし、地域社会への被害は続いています。
このような中で、同じ被害を繰りかえす可能性のある原子力発電所の再稼働を認めることは出来ません。今、国がおこなうべきことは、福島第一原子力発電所の事故の被害をくい止め、健康被害を含め、被災者や被災地の救済や復興に全力であたることです。
4.原子力に頼らないエネルギー政策に転換することを求めます。
原子力発電によって生まれる使用済み核燃料=「核のゴミ」を安全に処理する技術はありません。原子力発電所の稼働を続ける限り、処理する方法のない「核のゴミ」が増え続けます。安全性に不安があるばかりでなく、将来の世代に危険な遺産を押しつけるものとなります。
川内原発再稼働まで日本国内の原子力発電所は一基も稼働していませんでした。しかし、電力不足とはなっていません。国や自治体、電力会社は、本気で、原子力に頼らず、豊かな自然エネルギーを主体とするエネルギー政策への転換を進めていくべきです。
8月8日の毎日新聞が実施した世論調査では、原発再稼働に対して「反対」が57%、「賛成」が30%となっており、圧倒的多数が不安を持って再稼働に反対をしています。福島原子力発電所事故を直視し、脱原発を求める多数の声に耳を傾け、脱原発政策に舵を切ることを求めます。