消費者庁「食品表示基準(案)」へパブリックコメントを提出 一元化は歓迎しますが情報に不足があります

2014年8月11日

パルシステム連合会は8月8日(金)、消費者委員会食品表示部会がまとめた「食品表示基準(案)」に対する国民からの意見募集(パブリックコメント)へ、意見を提出しました。分かりやすい表示の一元化は歓迎しますが、情報に不足があると考えます。

政府の消費者委員会食品表示部会は、2013年6月の食品表示法に基づき6月25日(水)、「食品表示基準(案)」をとりまとめました。これにともない、国民からの意見(パブリックコメント)を募集しました。パブリックコメントは、国の行政機関などが新たな政策や規則などを定める際に、国民から広く意見を募集する手続きのことです。

パルシステム連合会では、食品表示の一元化に対しては歓迎しますが、消費者の選ぶ権利を保証するための情報に不足があると考えます。特に、基準(案)で先送りにされている遺伝子組み換え、原料原産地、食品添加物などの各表示については、TPP加入で新たな規制を設けることが困難となる可能性が懸念され、現時点での基準化が必要です。

パブリックコメントで要求した項目は、以下の通りです。

  1. 遺伝子組み換え食品の表示を基準に入れ、EU並みの表示とすること
  2. クローン食品、照射食品の表示を義務付けること
  3. アレルギー表示はわかりやすい一括表示、表示拡大を行なうこと
  4. 原料原産地表示を表示基準に入れて拡大すること
  5. 食品添加物表示を縮小させないこと

提出したパブリックコメント全文は以下の通りです。

2014年8月8日

食品表示基準(案)に関する意見書

 食品表示は食品の安全性確保や適正流通と共に、消費者の選ぶ権利を保証する情報として重要なものです。食品表示の一元化は、食品表示をわかりやすくするものとして、歓迎します。ただし、わかりやすさを優先して必要な表示が省略されることになれば本末転倒です。今回基準案に規定していない表示項目についても、先送りせず直ちに基準化することを要望します。具体的には以下の項目を要望します。

1.
遺伝子組み換え食品の表示を基準に入れ、EU並みの表示とすること
遺伝子組み換え原料の使用有無は消費者の知りたい情報であるので、先送りせず直ちに表示基準に入れてください。
現行の表示制度を見直してEUと同様に、DNA又は蛋白質の残留有無に関係なく、段階を踏まえて(最初は5%以上、期限をつけて最終的には0.9%以上の)遺伝子組み換え原料使用食品に「遺伝子組み換え」の表示義務付けを要望します。
DNA又は蛋白質の残留に関して分析の可否が理由とされていますが、原材料段階での表示も義務付ければ表示にも規制にも問題ないと考えますので、見直しを要望します。
2.
クローン食品、照射食品の表示を義務付けること
クローン食品、照射食品のように安全性に関して意見の分かれている食品は、遺伝子組み換え食品同様、消費者が選択をするために、直ちに表示基準に入れて、表示の義務付けを要望します。
クローン食品、照射食品の表示は、使用原材料についても義務付けを要望します。
3.
アレルギー表示はわかりやすい一括表示、表示拡大を行なうこと
アレルギー表示は現行の表示制度を見直し、原材料とは別に欄を設けて、有無の表示をするよう要望します。弊会は商品カタログでアレルゲンを略称で別記していますので、参考にして検討されることを要望します。
現行の推奨品目も表示を義務化することを要望します。
食品の原料を正確に認知できるとは限らないので、アレルゲン表示を省略できる特定加工食品は廃止に賛成します。
4.
原料原産地表示を表示基準に入れて拡大すること
原料原産地表示を先送りせず直ちに表示基準に入れてください。
原料原産地表示の対象は現在一部の分類に限定されていますが、原則として全食品を対象として、主要原材料の原産地の表示を義務付けるよう要望します。
表示については「〇〇産または〇〇産」という複数併記と「産地限定せず」の表示を認めることが適切と考えます。
5.
食品添加物表示を縮小させないこと
食品添加物表示は現行表示を縮小させることがないよう、要望します。

以上