パルシステム生産者・消費者協議会 第34回通常総会  4年ぶりに一同が集い開催しました

2023年4月6日

パルシステムの産直産地の生産者とパルシステム組合員でつくるパルシステム生産者・消費者協議会(※1)(以下生消協、186団体)は3月1日(水)、日経ホールにて第34回通常総会を開催。

4年ぶりの集合開催に、産直産地の生産者や生協組合員、パルシステムグループ役職員など282人が参加。2022年度報告、および2023年度方針・予算案、新体制や取り組みを確認しあいました。

審議のようす

開会にあたり大津清次代表幹事(愛媛県・無茶々園)は、「コロナやウクライナ侵攻、トルコ・シリア大地震など先行き大変暗い状況だが、これからは生産者が生活者としても地域を守るなど新しい運動の方向性を出す時代に入ったのではないか。2023年度はスローガンを決め、それをもとに新しい取り組みを共創していきたい」とあいさつしました。

大信政一・パルシステム連合会理事長は祝辞で「畜産飼料高騰で畜産生産者の経営は厳しい状況であり、先日、農水省に政府へ飼料高騰の対策強化を要望 国産化や施設更新など制度拡充をという要望書を提出した。エネルギーや食糧が自給できる持続可能な社会へと舵がきられることを望んでいる。産直産地の課題解決や食料農業政策の見直しなど、ともに困難を乗り越えて行きます」。また、今総会をもって退任となる大津代表、生消協発足からアドバイザーの谷口吉光先生(秋田県立大学教授)に感謝の意を表しました。

パルシステム協力会(※2)事務局長の江橋邦夫さん(三菱食品㈱)は、「食品業界も過去に例をみない値上げラッシュ、また高齢化や人口減少はさらに加速し、高齢者は2065年は38%。悲観的な一方、健康長寿や経済発展で生まれる社会という見方もできるのでは。生消協の掲げるコミュニティ産直など、協創の社会の実現に向けグループ全体で積極的な交流や関係づくりを働きかけて行きたい」と述べました。

総会議案は賛成多数で承認

総会では、2022年度の報告と2023年度活動方針など賛成多数で承認されました。

渡部さと子副代表幹事(パルシステム神奈川理事)は、次世代リーダー研修でのささかみサマーキャンプの体験やパルシステムの「もっといい明日へ超えてく」取り組みをともに進めることなどを報告しました。

小川保幹事(JAつくば市谷田部・茨城県)は「今年は『ローカルSDGsでもっといい明日へ超えてく!』というスローガンを作った。組織の枠組みを超えて共創していく」と決意を述べました。

組合員からは「生産者のみなさんは誇りであり宝であり大切な仲間です。これからも生消協の発展、またパルシステムの未来に向けていっしょに”もっといい明日へ超えてく”ことをがんばっていきたい」と発言がありました。

2023年度新体制一同

コミュニティ産直の時代

総会後は、生消協創立から30年間アドバイザーを務めた谷口先生の講演、続いてディスカッションを行いました。

谷口先生は「自分は”パルシステム産直の伴走者”と自負している。1977年にパルシステムが事業連合した際、小さい産地も含めすべての産地と関係を継続。1990年に生消協を作り、生産者と消費者が対等な立場で協議・活動。そこで”もの言う生産者“も育まれた。生消協を生んだことは英断である」と評価しました。

秋田県立大学教授 谷口吉光先生

また、「1981年に減反反対の農民運動と生協運動が出会い、産地を支援するためにささかみと産直を始め、それが事業につながっていく。このように生協は運動こそが命で、運動が先の時代の流れを読み取り、事業がそれを実務化する関係。歴代理事長の下山保さんが”取り引き関係ではなく、取り組み関係である”と述べたが、まさに言い当てている」と話しました。

産直の未来についても「果たして後継者世代が、パルシステムの強みである時代の流れを先取りする生産者になっているか。大津前代表幹事がかねてより言い続けている”コミュニティ産直”ー自分たちの産地の維持だけでなく、自分たちの地域全体の発展ーが後継者世代の課題」と呼びかけました。

「パルシステム産直」の展望

講演のあとのパネルディスカッションで山下一樹さん(アップルファームさみず・長野県)は、「これまで勉強してきたものは事業中心だった気がして、真の意味で”もの言う生産者”になれているのか自問した」。

戸谷彩さん(生消協消費者幹事・パルシステム東京)は、「人とのつながりが薄れていて、かかわりがめんどうという組合員が増え、活動組合員も年々減少。産地とかかわる楽しさを伝えていきたい」。

司会の島田朝彰(連合会産直事業本部本部長)は「お父さんや先輩たちからこれまでの産直運動について聞かされずにがんばっている若い生産者がけっこういる」に山下さんは、「運動の面は後継者の時代でだんだん右肩下がりを感じる。出来上がったシステムのなかで動き、自分のやりたいことや想いなど活かしづらいが、自分たちがやらなければという主体的な取り組みを増やしていくことが重要」と答えました。

青木等さん(JA新潟かがやき・新潟県)は、「広域合併した農協組織では先頭を切ったり束ねる人がいないのが実情だが、自分にできることとして、学校給食をオーガニックにと新潟県内の有機農家のみなさんに呼びかけ模索している」。また「石塚さんのように第一線は退いても、夢を追いかけるのは、どこの産地でもそうあってほしい」と話しました。

パネルディスカッション 左から 谷口先生、戸谷さん、青木さん、山下さん、島田本部長

組合員のこれからの産直のかかわりについて谷口先生は、「組合員にはいろんなノウハウやマンパワーを持つ人も多いが地方にはなかなかないので、それを移してもらいたい。たとえば、『組合員も産地と、学校給食オーガニック化の運動をやりますよ』というほうがうれしい。買い支えるだけではなく、組合員が産地で生産者といっしょに地域づくりをすることを思い描いている」と期待を込めました。

また、「近い将来、食料が不足し、海外から食料を買えない時代が来て、農業関係者の間で日本は最初に飢えるだろうと言われている。パンやパスタがダメでも、田んぼがあってお米さえあれば、なんとかしのげる。お米を食べることが持続可能な食生活の要なんだということを伝え広げてほしい」と生産者、組合員、パルシステムに望みました。

 

※1パルシステム生産者・消費者協議会(通称:生消協)
パルシステムに農畜産物を供給する生産者と消費者である組合員、生協が対等な立場でともに協議し、活動する場。同じ「生活者」として相互連携し、それぞれのくらしと地域が安心で豊かな暮らしの場となることをめざし活動しています。2023年2月末で186団体。

※2パルシステム協力会
パルシステム連合会の取引先メーカーによって自主的に組織された会。2023年2月末で323団体。品質管理、組合員交流、物流や環境など5部会の活動に基づき、組合員に信頼され、安心して利用いただく商品づくりに努めています。