最北端の有人国境離島で持続可能な漁業 船泊漁協と産直提携

2019年12月12日

12月3日(火)、東京・新宿区の東新宿本部にてパルシステム連合会は、北海道・礼文島の船泊漁業協同組合(以下、船泊漁協)、北海道漁業協同組合連合会(以下、北海道漁連)との3者よる産直提携の調印式を開催しました。水産では国内12産地目となる提携に、島の人々と組合員とのつながりへの期待が交わされました。

左から、北海道漁連・安田専務、船泊漁協・大石組合長、当会専務理事・渋澤

パルシステムは、水揚げの減少や後継者不足などで衰退しつつある日本の水産業の再生をめざし、「食べ続けることで支える」を方針に、利用しやすい商品開発や品ぞろえで水産品の利用向上をめざしています。2009年には水産方針(※1)を策定し、海の環境保全や資源保護などに取り組む水産業・漁業者と連携した‘水産の産直’を進め、事業や運動、交流活動などに取り組んでいます。

国内の水産産直12産地目となる産直提携の調印式には、はるばる礼文島から船泊漁協の大石組合長ほか2名、北海道漁連から安田専務ほか7名、パルシステムは専務理事、商品本部長、副本部長、水産担当など、総勢15名が参加しました。

漁業者の守り手に

当会より代表理事専務理事の渋澤温之が歓迎のあいさつを行いました。「産直提携産地で獲れるべき時期に獲れないという状況がずっと続いており、大変心配しています。産直提携とは商品の取引だけでなく、こうした困ったときこその後ろ盾だと思っています。近年の水産状況の厳しさを鑑みると、さらなる困難も否定できません。知恵を出し合い、産地に少しでも活気が戻る取り組みや応援ができるよう、今日の調印を起点に人と人との交流をしっかりとやっていきたい」と述べました。

島の存続の一助にも 有人国境離島との提携

船泊漁協・代表理事組合長の大石康雄さんから、まず礼文島の説明がありました。ロシアとの国境、日本最北端にあり、国民が定住する離島は国防上、また領海や排他的経済水域(EEZ)の保全という重要性から特定有人国境離島(※2)に指定。そのため島では漁業の存続を重要視し、厳格な資源保護や環境保全、「船泊」ブランド商品開発など、さまざまな活動に自負を持ち取り組んでいるそうです。大石組合長は「産直提携は当漁協にとってあらゆる意味で画期的な一歩と確信しています。仲介いただいた北海道漁連にも心から感謝します。提携の目的の実現と発展に力を尽くしたい」と応えました。

調印式のようす

北海道漁連・代表理事専務の安田昌樹さんからは、「今回の産直提携はとてもスムーズに進みました」とエピソードが。「船泊漁協の資源や環境保全などへの高い志、パルシステムの“共生”の社会の追求など、諸々の活動にお互いが共鳴した結果だと思います。今後は商品だけでなく人とのかかわりも深め、組合員のみなさんに船泊の応援団になっていただけたら」と希求しました。

当会商品開発本部水産課長の秋山貴彦は「今回提携するにあたり、有人国境離島地域での漁業の持続は、国益や安全保障からも非常に重要なことを知りました。船泊漁協の取り組みも非常に感銘を受けるものであり、それを関東のほうで多くの組合員に広め、応援へと広げていくことが我々の使命と思っています」と決意を述べました。来春以降をめどに、ウニ、ほっけなどを供給する予定です。

船泊漁協による商品の一例

※1 水産方針
1.海の環境を保全し、水産資源を持続的に利用する取り組みを行います。
2.日本の水産業再生に取り組みます。
3.水産物の安全を追求します。
4.日本の魚食文化を大切にします。
(詳しくはこちら(PDF)を参照)

※2 有人国境離島
日本の領海、排他的経済水域(EEZ)等を適切に管理する必要性が増大していることで、その機能を維持するために重要な島として総務省が指定した離島。有人国境離島法により地域社会の維持に関する特別の措置が講じられている。

パルシステムの商品づくり|魚介