パルシステム生消協「第8回青果フォーラム」を開催 食と農の未来は多様性の協同で

2019年10月25日

パルシステム生産者・消費者協議会(生消協)は、農畜産物を供給する生産者と消費者の組合員が、対等な立場で協議や活動する場として1990年に設立。青果フォーラムは野菜と果樹部会主催で毎年開催し、課題を共有しています。

食と農の未来について意見交換

10月3日(金)、TKPガーデンシティ(東京・千代田区)にて「第8回青果フォーラム」が開催され、産直生産者、組合員、パルシステム関係者など112名が参加しました。コア・フードやエコ・チャレンジ商品の現状や課題、パルシステム連合会・山本伸司顧問の講演では種子法廃止や遺伝子組換え・ゲノム編集の問題点や食と農の未来について意見交換しました。

開会にあたり生消協代表幹事の大津清次さん(無茶々園・愛媛県)は、台風15号の被害へのお見舞いを述べ、「昨年の豪雨被害に続き、今回も第1次産業の未来について憂慮するような災害で、これから本気でコミュニティや助け合えるしくみを考えていかなければならないのでは」と話しました。また、もっと本気で産直の本質から議論したいと提起しました。

コア・フード等の利用状況と取り組み

「コア・フードがスタートして20年。有機栽培は生協ではパルシステムが先駆けでがんばってきたが、一般市場での伸びに比べて、利用の停滞が気になります」と連合会産直部長の那須豊。今年10月に利用推進タスクが立ち上がり、商品名に「有機」を付け表示でわかりやすくするなど検討内容が報告されました。

青果の子会社である(株)ジーピーエス・武藤浩史部長からは「果物は1年に1回の収穫であり、農薬削減や有機栽培は大変なリスクを伴う。この現実を組合員に知ってもらい、理解を広げたい」と本音も出され、「よく分析し、きちんと野菜・果物を食べる生活を産地といっしょに提案していきたい」と語りました。

生消協幹事の坂入清史さん(八千代産直・茨城県)は、「続けることでわかるかも」と2年目となる土着天敵の有効活用実験を報告。害虫の影響がさほどなく収穫できたことで、「カエルやクモ、また見えなかったが天敵がいて捕食してくれた。薬剤散布は2回、化学成分0回で終わり、天敵の住みやすい環境作りが薬剤削減や労働力軽減、またヒトや環境へのリスクを減らせる」と自信をのぞかせました。参加者は坂入さんの地道な取り組みを評価し、今後に期待を寄せました。

八千代産直の坂入清史さん

100年先を見据え協同する

パルシステム連合会元理事長の山本顧問

山本顧問からは、種子法は1952年に富山県の国会議員が中心となり議員立法で成立したと紹介。「国民のいのちをつなぐ種は国が保障する義務を負うという法律。我々は昔の人たちが残した財産で種を守り命をつないでいる。それを子や孫の世代まで引き継いでいくことは農業者の使命です」。

しかし2018年の種子法の撤廃は、「各地の農業試験場で品種改良された県産ブランド品が消滅し、種の採取が禁止され、種は企業の所有物に代わり農家は買い続けることになる」と指摘。対抗するため「日本の種を守る会」を作り、各県では種子条例を制定するなど動きがあること、長野県では消費者、生産者も参加した公的委員会を作り議論していることなどを説明しました。また、「種子法も遺伝子組換えやゲノム編集も根本は『お金』。しかし農業はいのちの産業。みなさんはそこに誇りを持ちぶれないでほしい。多様性を容認しすそ野を広げていく。地域で協同することで、農業はグローバル産業に対抗でき、“いのちの産業”を100年先も持続できる光が見えてくるのではないか」と激励しました。

ジョイファーム小田原の鳥居啓宣さん

最後に生消協幹事の鳥居啓宣さん(ジョイファーム小田原・神奈川県)が、「生協、産直の未来はあると感じました。パルシステムや我々との産直関係はなぜでき、なぜ今があり、そしてこれから何ができるか。100年先までつながる運動をしていかなければと強く思います」まとめました。