鹿児島県南九州市知覧町の「うまか有機銘茶会」を訪問 有機のお茶がつなぐ絆
2018年6月29日
商品委員会より6名が参加
パルシステム連合会・商品委員会は5月28日(月)~29日(火)にかけて、PB商品「鹿児島知覧有機栽培の産直緑茶」の原料産地、鹿児島県南九州市知覧町の「うまか有機銘茶会」を訪問し、生産者をはじめ関係者で交流しました。パルシステムからは組合員、役職員など11名と供給元の水宗園、加工品開発の三菱食品から参加がありました。古くからお茶どころとして知られる知覧町の茶畑の栽培状況や製茶工場で荒茶の製造工程を見学、機械による茶摘み見学や手で摘む茶摘み体験をしました。
「有機栽培の知覧緑茶」の産直産地へ
パルシステムの「産直」は、食と農をつなぎ、都市と農村がともに心豊かで持続的な地域社会をつくることをめざしています。パルシステムは2006年に有機栽培にこだわる生産者と水宗園が協働で手がけるお茶をオリジナル商品化し、品質や安全性にこだわったお茶を供給してきました。2017年に生産者17戸が「うまか有機銘茶会」を立ち上げたのを機に、組合員交流やお茶を活用した商品開発など産直関係をさらに深めていこうと、2018年に1月に産直協定が結ばれました。
お茶作りは次の世代へと
28日(月)は、荒茶製造の塗木(ぬるき)製茶直売店「知覧農園」にて、有機のお茶や生産にかける想いについて、塗木達夫さんとお茶の製造販売会社㈱水宗園本舗代表の八木誠社長からお話がありました。最初にパルシステム連合会・渋澤温之専務理事より「昨年に産直協定が提携され、お茶をつくっている現場と消費者が交流できる場ができたらどんなにいいかと(昨冬に亡くなった先駆者のひとり)塗木実雄さんと話していたのがこないだのことのように思い起こされます。この2日間交流しながら生産者と組合員がさらにつながっていけたら」とあいさつがありました。
有機の茶畑には欠かせない害虫を食べてくれる昆虫(カマキリやテントウムシ)との共存を説明しながら、お茶の有機栽培について説明がありました。水宗園の八木社長は「組合員のみなさんに産地を体験してもらいたいという思いから、1年かけてようやく今日を迎えられました。日本で一番美味しい有機のお茶を目指して取り組んできました。人と人とのつながりでできたお茶です。後継者の若い方も良く育っています。今回の交流が知覧町のお茶をすすめていく第一歩になれば」と述べました。その後、塗木さんより鹿児島弁でのご挨拶があり「毛利元就の3本の矢のように、塗木の3兄弟で力をあわせてお茶をつくってきました、有機に一番力をいれてきた実雄も今日をきっと喜んで天から見守ってくれていることでしょう。これからは若い世代にバトンタッチをして有機に向かってより一生懸命に頑張っていきたい」と語り、お店を切り盛りする実雄さんの娘さんたちが涙する場面もありました。
当日は、南九州市市長や西郷隆盛氏の曾孫である西郷隆文さんの参加もありました。西郷さんは「鹿児島知覧有機栽培の産直緑茶」のパッケージにもある『うまか有機銘茶会』の揮毫(きごう)もいただいています。
そのあと、塗木製茶工場内を見学しながら塗木さんから荒茶の工程説明がありました。摘んだ葉っぱはすぐに工場に持ち込まれ、100℃越の水蒸気でお茶を蒸します。蒸された葉を強い力で揉みながら熱風で乾かしていく工程を繰り返し、形を整えて荒茶を完成させていきます。出来上がった荒茶は長野信州安曇野にある水宗園工場に運ばれお茶の仕上げ工程に入っていきます。
有機の肝、ぼかし堆肥工場を見学
最後に、有機栽培茶の基本となるぼかし(発酵肥料)を製造している堆肥工場を訪れ、有機の先駆者である藤崎農園の藤崎悟さんに有機栽培をおこなう上でのさまざまなぼかし製造の工夫についてお話を聞きました。「一番大事なのは土です。20年前は有機のお茶は難しいと周りから反対され、最初は奇人変人といわれても意地でぼかし作りに励んできました。今では年間1050tものぼかしをつくるまでになりました。安心・安全で美味しいお茶をつくるために組合員のみなさんには、どんどん意見を出してほしいと思っています」と説明がありました。
※ぼかし肥料とは、油かすや魚粉などを有機肥料に、土やもみがらを混ぜて発酵させて作る肥料のことです。有機肥料は、微生物に分解されることで効果を発揮することから、効き目が現れるまでに時間がかかるとされています。
29日(火)は晴天に恵まれ青い空と鮮やかな緑の茶畑のなか、藤崎さんの茶畑で機械による茶摘みや手による茶摘み体験を行いました。
反町幸代商品委員長(パルシステム群馬理事長)が最後にあいさつし「たくさんの方の思いがつまった、美味しくて安心・安全なお茶を高い技術で作っていただいていることを確認しました。これから商品化される予定である緑茶のABパックの発売も楽しみにしています」と締めくくりました。