筋肉元気、生涯現役! 超えトーク「人生100年時代の健康資産づくり」を開催しました。
2025年9月23日
パルシステム連合会は8月9日(土)、京都大学名誉教授の森谷敏夫さんを招き、オンライントークイベント「超えトーク(*)」を開催しました。応用生理学とスポーツ医学が専門の森谷さんから、生活習慣病になりにくい体をつくる簡単な筋トレのコツや食生活の留意点などについてお話しいただき、組合員や役職員282名が参加しました。
\ 「おサボリ筋トレ」実践編やイベント後に収録した特別編も! アーカイブ動画を公開中 /
※ 講師のご厚意により本アーカイブ動画を一般公開とさせていただきました。ただし、動画は予告なく公開を終了とさせていただく場合がございます。何卒ご了承ください。
筋肉は偉大な臓器! ~健康寿命を伸ばすには?~
初めにスライド資料を交えた授業形式で筋肉の重要性について理解を深めました。「筋肉」というと体を動かすための運動器官として捉えられがちです。しかし、糖質・脂肪を最も大量に消費しているのは筋肉で、代謝にも大きく影響していることから「筋肉は偉大な臓器である」と森谷さんは説きます。筋トレや運動を何もしなければ30代後半から年1%ずつ筋肉が減少することがわかっており、脂肪を十分に燃やせず、糖質を消費しきれなくなると、生活習慣病リスクが高まると話しました。
また、厚生労働省によると、日本人の平均寿命と健康寿命はどちらも年々伸びていますが、その差は平均すると男性で9年、女性で12年と縮めることができていません。健康寿命を延ばすカギを握る指標の一つとして、森谷さんは「歩く」ことが重要だと話します。歩く距離や時間も重要ですが、歩く速さはより重要で、健康寿命の延伸につながることを紹介しました。
「お米を減らす炭水化物ダイエット」で減っているのは水分だけ!
生活習慣病の一つ、糖尿病は体質の遺伝などではなく、おもに運動不足が原因であると力説する森谷さん。病名のせいか、「お米などの炭水化物を減らして、糖質を減らさなければ」と勘違いされることが多いことに警鐘を鳴らします。通常、筋肉は1日の糖質消費のおよそ70%を担っていますが、筋肉をあまり使わずに糖代謝が弱ってしまうと、余った糖質の代謝を促すために膵臓を酷使してインスリンを出すことになり、結果的に膵臓が疲弊して糖尿病に至るというメカニズムを解説し、改めて「お米を食べすぎたから糖尿病になるのではない」ことを強調しました。
また、たんぱく質については、高齢者や閉経後の女性の筋肉維持のためにとても重要ですが、摂取を心がけるだけでは不十分だといいます。研究結果などから、十分なたんぱく質を摂取しても3年で0.5kgの筋肉が減少することと、一方でたんぱく質摂取と筋力トレーニングとを組み合わせれば高齢者でも筋肉の増強や維持が問題なく可能なことが示されました。
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筋トレは裏切らない
後半では、自宅や通勤・勤務中などでもできる簡単な筋トレを実演しました。かかと上げ、椅子に座ったままのウォーキング・股関節閉め・脚クロス・腹筋運動、正しいスクワット、そして負荷を変えられる腕立て伏せの方法など、日常的に取り入れられるのにしっかりと筋肉に効く「おサボリ筋トレ」の基本とコツを伝授いただきました。

(左)正しいスクワットのやり方を覚えるために、普段通り椅子に座って立ち上がる時の姿勢を意識。(右)バランスよく上半身の筋力を鍛えられる腕立て伏せは、膝をついたり、壁に向かったりすれば負荷の調整が可能。
今回の超えトークの参加申込者から事前に寄せられた質問は220件以上。筋トレ方法や心がけたい食生活など、多岐にわたる質問に回答いただきました。
イベントの締めくくりでは、森谷さんの好きな言葉として「筋肉元気 生涯現役」の直筆の色紙も。「『食』は人を良くする行事。何をいつどう食べるのかをしっかり考え、そして今日のような筋トレを実践してほしい。食事と運動の両輪で健康管理をしっかりすることで、健康寿命を延伸しましょう」と力強いエールをいただき、閉会しました。

参加者からは「多くのエビデンスと分かりやすいお話でメカニズムがよくわかり、筋トレの意義や食の大切さがよくわかった(50代)」「講義と運動指導、質疑とちょうどよい時間配分で集中して視聴できた(50代)」など好評の声が多数寄せられました。

筋トレ実演でご協力いただいた会場参加者らとともに。
*パルシステムでは2022年より「もっといい明日へ超えてく」を掲げて、一人ひとりの行動で未来が楽しみになるサステナブルな活動に取り組み、社会課題やくらしの悩みなどをテーマにオンラインイベントを開催しています。
講師プロフィール

森谷 敏夫 氏
(京都大学名誉教授)
1950年生まれ。専門は応用生理学とスポーツ医学。国際電気生理運動学会(元会長、終身フェロー)、国際バイオメカニクス学会理事、アメリカスポーツ医学会評議員、日本運動生理学会理事、日本体力医学会理事などを歴任。
生活習慣病における運動の重要性を説き、炭水化物の摂取と有酸素運動を推奨している。『ためしてガッテン』(NHK)や『タケシのニッポンのミカタ』(テレビ東京)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)などのテレビにも出演。著書に『結局、炭水化物を食べればしっかりやせる!』(日本文芸社)、『やせられないのは自律神経が原因だった!』(青春出版社)、『おサボリ筋トレ』(毎日新聞出版)など。
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