原発事故関連地域を視察 被災地が求める支援とは
2026年6月10日
中間貯蔵施設や「非核の火」など役職員が訪問
パルシステム連合会(本部:新宿区大久保、理事長:渋澤温之)は2026年6月6日(土)、グループの役職員24人で福島県の原発事故関連地域を視察しました。大熊町で生活する人々からのメッセージや同町と双葉町に立地する中間貯蔵施設の説明などを聞き、今後の被災者支援について考えました。
視察は、パルシステムグループの役職員で構成する「平和・地域活動委員会」の委員などが参加しました。大熊町前の産業交流施設「CREVAおおくま」や、楢葉町で原発事故を伝える宝鏡寺の「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ・伝言館」などを訪問し、事故から15年を経た現況と今後の課題などについて話を聞きました。
CREVAおおくまでは、原発事故後に発生した除染土壌などを貯蔵する中間貯蔵施設について、地元住民と施設運営事業者からそれぞれ報告してもらいました。中間貯蔵施設は、東京電力福島第一原発の周囲を囲むように設置され、東京都渋谷区とほぼ同じ面積の土地に広がります。
住民「来てくれるだけでうれしい」
大熊町へ帰還し、中間貯蔵施設へ土地を提供した地権者の松永秀篤さんは「事故による避難によって、隣近所で暮らしていた人々がばらばらになりました。帰還する人も少なく、いまも連絡のつかない人が多くいます」と現状を紹介しました。所有地の提供は「いまも心の整理がついていません」と漏らします。
結婚を機にパートナーの実家である同町へ移住した佐藤亜紀さんは「移住を決めた動機のひとつは事故への怒りでした」と打ち明けました。現在は「いまも紡がれる町のくらしを残したい」と、農業を営むとともに地域のコミュニティ活動を支援し、伝統芸能の熊川稚児鹿舞(ししまい)や篠笛の保存活動などにも関わっています。
必要な支援については、ともに「来てくれるだけでうれしい」と口をそろえました。松永さんは「いろんな事情で帰れない人へ、大熊へ行って『楽しかった』という声が伝わってくれれば」と期待を語ります。説明中、佐藤さんに促され松永さんが篠笛の演奏を披露する場面もありました。

▲移住した佐藤さん(左)と笛を披露する松永さん(右)

除染土集約する中間貯蔵施設

▲大画面のバーチャルシアター
中間貯蔵施設については、同じ建物内にある「中間貯蔵事業情報センター」でJESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)から説明を受けました。施設は、福島県内の除染で発生した土壌や廃棄物を集約し、分別や焼却で体積を減らす処理を施した後、敷地内で貯蔵されています。
県内各地にあった仮置き場からの運搬はほぼ終えており、空間や地下水の放射性物質量を測定しながら管理されているといいます。受け入れた除染土などの量は東京ドーム11杯分になり、処理を経て放射線量が比較的低い75%は「復興再生土」として活用され、残る25%は県外へ最終処分される計画が紹介されました。
「暮らし奪う現実を忘れないで」

▲「非核の火」の説明を受ける参加者
ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ・伝言館では、事務局長の丹治杉江さんから、原子力発電所が設置された背景や、原発事故後の現状などについて解説を受けました。避難指示が解除された地域の居住者数は、立地周辺の5町合計で事故前の2割に届かず、なかでも小中学校の生徒数は1割にも達していません。
丹治さんは「事故対策にかかる社会的、経済的影響を踏まえれば、原発も核兵器も明らかに高コストです。人々の命や暮らしを奪っている現実を忘れないでください」と訴えました。参加者は、伝言館内の展示や、上野東照宮から譲り受けた「非核の火」(以前は「原爆の火」)などを見学しました。