2025年産「産直米」、記録的猛暑により新米の品質と収穫量に影響

2025年9月15日

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  • 産直米の限定数はいつまで?
  • 2025年産の価格はどうなる?
  • 予約登録米の募集は再開する?

記録的猛暑に深刻な水不足……各地の米産地が苦境に

今夏、記録的猛暑と水不足が日本列島を襲い、各地の米産地が苦境に立たされました。気象庁によると7月の全国の平均気温は平年よりも2.89℃高く、1898年の統計開始以降、もっとも高い値となりました。稲作において脅威となるのは「高温障害」。猛暑が続くと稲の光合成が低下し、でんぷんの蓄積が不充分となり、品質劣化や小粒傾向の原因につながります。
とくに「新潟こしひかり」の産地「JAえちご上越」のある新潟県上越地方は、平年7月の降水量が約200mmあるところ、今年は1mmという深刻な水不足に見舞われました。田んぼの一部では土がひび割れて稲が枯れる被害も出ています。

「白い米」や「割れた米」が発生しますが、食味は問題ありません

高温障害と水不足により、 「新潟こしひかり」をはじめ収穫した産直米に白く濁った「シラタ米」や、米粒の内部に亀裂が入った「胴割れ米」が発生する見込みです。「シラタ米」は米が生長するなかで、高温や日照不足などの影響によりでんぷんが蓄えられず、粒に隙間ができて光が乱反射して白く見える状態を指します。「胴割れ米」は精米時に砕けやすく、品質低下につながるリスクがあります。
2025年産の産直米は一部、白い米や割れた米が入ったものもお届けする場合がありますが、食味は問題ありません。パルシステムが食味と品質を確認したうえでお届けします。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

2025年産「産直米」の一部に入る可能性があるシラタ米、胴割れ米のイメージ

2025年産「産直米」今後の動向Q&A

物流状況や製造点数を考慮した安定供給を続けるため、当面の間は限定数の設定を継続します。安定的な供給が見込めたら解除を予定しています。12月に確定する産地との契約数量によっては、解除後も再び限定数を設ける場合があります。

2024年産と比較して「値上げ」となる見込みです。カタログ誌面の産直米は最大で約250円(1kg当たり)の値上げを想定しています。また、予約登録米は2024年産の販売価格の上昇を抑制していたため、最大で約350円(1kg当たり)の値上げを想定しています。ただし、最終的な収穫量によって値上げ幅が変更となる場合があります。

2025年産の追加募集については、現在再開できない状況です。12月に産地との契約数量が確定した時点で、原料に余裕がある場合は追加募集を再開いたします。再開の際は改めてご案内いたします。2026年産については、一部でも新規募集が行えるように産地と協議して原料の確保を行っていきます。原料が確保できたものについては新規募集を行います。

米産地の状況

「毎年、炎天下の農作業は大変ですが、体力的なことは自己管理すればなんとかなるものです。でも、異常気象だとか自然のことはどうにもなりません。今年は空梅雨で6月下旬から40日くらいずっと雨が降らず、地割れする田んぼも。『いつになったら雨が降り、穂が出るのか』と途方に暮れるばかり。これほど精神的に辛い年はそうそうありません。幸い、お盆にまとまった雨が降ったので最悪な事態は回避できました。あのまま雨が降らなかったらと想像するだけでゾッとします。僕は米農家になって21年目。昔は近所に20戸くらいの農家がいましたが、今ではうちを含めてたったの2戸だけです。米作りは年々厳しくなっていますが、これから先もずっと作り続けますよ。安全な米を育てることはもちろん、稲作の未来を見据えて若いスタッフの育成にも力を入れていきます」

その他の産地について詳しくはこちら(PDF)

飼料用米にも影響が出ます

10月1回から、畜産品の飼料用米配合率を見直します。

パルシステムでは飼料自給率の向上のみならず、水田の多様な価値を考えて飼料用米の拡大に取り組んできました。耕作放棄地にならないよう水田として維持してきたことが、今回の米不足を補うための主食用米への円滑な作付け転換に貢献しました。しかし、その一方で飼料用米の作付け面積は約5割減少となっているのが現状です。この飼料用米の取り組みも継続して進めていけるよう、当面の間、畜産品の飼料用米配合率を見直し、引き続き水田保全に尽力いたします。

※マークの数字は配合率の下限です。『コア・フード地鶏しゃも』は23%→10%以上、『日本のこめ豚』は仕上げ期40%→仕上げ期10%以上となります。

 


お米を取り巻く環境は厳しさを増し、全国の産地が苦しい状況下にあります。
産地を支えるには生産者の声に耳を傾け、理解して食べていくことが大切です。
自給率を保ち、豊かな田んぼを守るためにも、ともに乗り越えていきましょう。