「福島原発事故から6年を迎えて 福島の今から未来をつなぐ」報告会 いまできる「助け合い」を考える
2017年2月14日
パルシステム連合会は2月6日(月)、「福島原発事故から6年を迎えて 福島の今から未来をつなぐ」報告会を開催しました。
福島原発事故以降、パルシステムグループでは、さようなら原発1000万人アクション、阻止ネットと連携した脱原発運動、原発事故被害者救済を求める全国運動と連携した署名活動、福島の子どもたち保養プログラム、会員生協では甲状腺検診などさまざまな支援に取り組んできました。
被災者支援に引き続き取り組み、また新たな原発事故を引き起こす可能性がある原発再稼動に反対することを確認しあう場として本企画を開催し、会員生協、役職員など90名の参加がありました。
主催の運動委員会佐々木博子委員長(パルシステム千葉理事長)は「最近は福島に関する報道も減ってきています。報道が変われば支援の中身もまた変化してきます。生協としてどういった支援、社会に向けた発信をできるか改めて考えなければなりません。原発の現状と自分たちにできる取り組みについて共有していきたいと思います」とあいさつしました。
自分たちで始められる脱原発
市民電力連絡会会長の竹村英明さんが「脱原発の視点から電力自由化を考える」と題し、電力自由化と脱原発をめざした再生可能エネルギーの可能性について講演しました。今回の電力自由化は電力会社を「発電・送配電・小売の3つに分割したシステム改革」と説明したうえで「分散型ネットワークシステムのほうが効率的で災害に強い」と指摘しました。そのうえで「日本では再生可能エネルギーは高いと思わされているようなふしがありますが、ランニングコストは圧倒的に安いのです。例えば風力発電だけでも日本全部の電気をまかなえるポテンシャルがあります」と再生可能エネルギーを評価しました。
「日本の基本政策である2030年に原発22%を確保するためには、再エネを増やすわけにはいきません。東電では原発の事故対策費を過去分の一般負担金をさかのぼって徴収、政府は他社の送配電部門の抱き込みを図るなど、福島復興の名の下に、とんでもない施策が進行しています」と述べました。
今後の課題として「原発にたよるのではなく、どの電気を選ぶかによって社会を変えられるのです。私たちに始められることとして脱原発度や再エネ比率の高い新電力へ切り替えましょう。日本のエネルギー政策を変えるために意見書や要望書、署名活動など行動しましょう。そして棄権せずに選挙へ投票にいきましょう」と訴えかけました。
「原発廃炉」「原発事故損害賠償」で政府へ意見 みえにくい国民負担の制度化を懸念します(2016年10月28日)
パルシステム福島 自然エネルギーへの取り組み
パルシステム福島からは「地産地消の再生エネルギーの取り組み」について報告がありました。自然エネルギー発電施設見学や太陽光エネルギーを最大限に活かしたパッシブゼロエネルギーハウス「みんなの交流館パルキッチンスタジオIWAKI」が紹介されました。
福島原発事故は終わっていない
原発事故被害者の救済を求める全国運動共同代表佐藤和良さんからは「福島原発事故から6年~あきらめず闘う被害者~」と題した講演がありました。
原発事故の背景と被爆労働の劣悪な状況、福島第一原発の現状について「福島第一原発事故は終わっていません。政府の『原子力緊急事態宣言』はいまだ解除されていないのです。被爆労働は過酷さを極めています。請負の下請け会社は7次8次まで増え続けています」。「2017年3月で住宅保障支援と避難区域指定の解除がされます。被害者切り捨てや、棄民政策など問題が山積みであるにも関わらず原発事故がまるでなかったかのようになってきています」。
原発事故は全国で「風化」、加害者は「居直り」、被害者は「疲弊」の状態であるとし、「事故収束と根本的な改善が早急に必要です。エネルギー問題ではなく命の問題として声をあげ続けなければなりません」と述べました。
関連報告としてNPO法人3・11甲状腺がん子ども基金理事の吉田由布子さんが基金への支援を呼びかけました。また避難の協同センターとパルシステム千葉より自主避難者の住宅支援打ち切りの現状と署名活動が報告されました。
NPO法人3・11甲状腺がん子ども基金
避難の協同センター
保養プログラムと甲状腺検診の事例報告
連合会地域活動支援課からは「福島の子どもたち保養プログラム」、パルシステム神奈川とパルシステム群馬より甲状腺検診の取り組み事例が紹介されました。「検診の今後の課題としては原発事故に対する意識を薄れさせないこと、協力してもらえる医師、技師、組合員を増やすこと」としました。
生協パルシステムの情報メディア KOKOCARA|「子どもの甲状腺検診を福島以外でも」。母親たちの声を受けて始まった生協の検診 (2017年2月13日)
最後に運動委員会松野玲子副委員長より「それぞれの場所で活動、活躍しているみなさんの事例を確認することができました。パルシステムは助け合いの組織です。明日から自分たちにできることを考えて情報共有しながら助け合っていきましょう」と締めくくりました。
パルシステムでは引き続き、原発に頼らない社会の実現のために、さまざまな団体と連携しながら、協同の力で生活者がエネルギーを選択できる社会をめざしていきます。
川内原発の稼働停止などを政府へ意見 被災地の不安軽減のためにも稼働中止を(2016年4月22日)
「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(改定案)」へ意見提出(2015年8月11日)