ウクライナ侵攻1年でフォーラム 避難者や支援者が現地から報告も

2023年2月24日

ロシアによるウクライナ侵攻から2023年2月24日(金)で1年を迎えました。国際交流NGOピースボートとパルシステム連合会は前日の2月23日(木)都内で共同フォーラム「侵攻から1年ウクライナに持続可能な平和を!」を開催しました。国内での避難民支援に関する活動報告のほか、ウクライナや周辺国とオンラインでつなぎ4人から現地の状況を伝えてもらいました。アーカイブ動画も公開しています。

戦争は“生きながらの悪夢”

フォーラムには、会場に54人、オンラインで200人を超える参加が集まりました。

現状レポートでは、ウクライナのほかドイツ、エジプト、ポーランドとオンラインでつなぎ、支援や避難といったそれぞれの立場から現状を報告してもらいました。

エジプトから参加したルーマニア平和研究所(PATRIR)所長のカイ・ブランド・ヤコブセンさんは「ウクライナでは侵攻が始まるまで、ほとんどの人が普通の生活を送っていました。それがこの1年で愛する人が殺され、さっきまで住んでいた家が消失し、言葉が通じない国へ行く――戦争は”生きながらの悪夢”です。遠くにいる日本のみなさんも実感し、引き続き支援してださい」と訴えました。

隣国のポーランドで避難生活を続けながら支援活動に携わるカテリーナ・グリニュクさんは「避難側と受け入れ側、国外避難者と国内居住者、戦争へ行く人と残る人など、ウクライナ人の間でも立場による考えや感情の対立が目立っています。子どもへの教育や、精神的な被害を受けた人へのサポートも、必要性が高まっています」と体験に基づく課題を語りました。

グテーレス国連事務総長へ要請文を提出

リレートークでは、国連広報センター所長の根本かおるさんが被害の状況や国連の活動を報告したほか、関東を中心とする国内での活動が紹介されました。パルシステム連合会理事長の大信政一は、閉会のあいさつで「市民1人でもできることはあります。さまざまな場面で『いかなる戦争にも反対し平和の実現を願う』というメッセージを広げ、停戦につなげましょう」と呼びかけました。

フォーラムでは、アントニオ・グテーレス国連事務総長あての要請文「ウクライナにおける即時停戦とロシア軍の全面撤退を求めます」の提出が報告されました。要請書は近日、国連グローバルコミュニケーション局を通じてグテーレス事務総長へ手渡される予定です。

フォーラムのもようはピースボート公式YouTubeチャンネルでアーカイブを配信しています。

グテーレス国連事務総長あての要請全文はこちら(PDF)を参照ください。

「平和・核廃絶に向けたフォーラム」プログラム

<第一部>ウクライナからの現状レポート:避難民支援の課題を知り今後の復興支援を考える
■カテリーナ・グリニュク氏 (武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ(GPPAC)国際事務局・プロジェクト・コーディネーター)
■アンドレ・カメンシコフ氏 (非暴力インターナショナル・ウクライナ代表、武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ(GPPAC)・東欧地域代表)
■カイ・ブランド・ヤコブセン氏 (ルーマニア平和研究所(PATRIR)所長)
■マリア・レフチェンコ氏 (ルーマニア平和研究所(PATRIR)平和構築オフィサー)
進行・コーディネート:畠山澄子(ピースボート共同代表)

<第二部>日本における市民団体の取り組み報告(リレートーク)
■根本かおる氏(国連広報センター所長)
■木村真三氏(獨協医科大学国際疫学研究室福島分室長・准教授、放射線衛生学者)
■福本良子氏(かわさき生活クラブ生活協同組合組合員、生活クラブ神奈川・環境平和委員(2020~2021年度))
■上山精一氏(千葉県生活協同組合連合会専務理事)
■下山保氏(パルシステム連合会元理事長)
■小島教子氏(パルシステム東京常任理事)
■小林深吾氏(一般社団法人ピースボート災害支援センター理事/プログラムオフィサー)

平和の実現をめざす団体が共同開催

ICANは、核兵器の禁止と廃絶を目的に活動する世界のNGO(非政府組織)で構成する連合体です。核兵器禁止条約の成立に貢献したことが評価され、2017年にノーベル平和賞を受賞しました。ピースボートは、2010年からICANに参加し、世界10団体で構成する国際運営グループのひとつです。パルシステム連合会は2018年からICANに加盟し、核兵器のない世界の実現を呼びかけています。
両団体は今後もウクライナをはじめとする世界各国の平和のために、市民の立場からできることを考えていきます。