「選ぶ」で変わる地球の未来 パーマカルチャーに学ぶ、つながるメソッド
2019年12月27日
パルシステム連合会は12月10日(火)、東京・東新宿の本部事務所にて、ソーヤー海さんを招き、第6回「ほんもの実感!」くらしづくりアクション連続講座を開催しました。
パルシステムは、一人ひとりの選択でよりよい社会や自然環境を次世代へ引き継ごうと、「ほんもの実感!」くらしづくりアクションに取り組んでいます。今回は東京アーバンカルチャー主宰、共生革命家のソーヤー海さんを迎えて「しあわせの経済・スローライフ」について学びました。一般組合員、パルシステムグループ役職員など計68名が参加しました。
「スローライフ」とは、大量生産・高速型のライフスタイルを見直し、結果だけでなく「過程を楽しむ」ゆっくりとした暮らしをしよう、という提案です。ソーヤー海さんが千葉県で仲間と始めた「パーマカルチャーと平和道場」では、くらしや地域をよくしようとさまざまな実践をしています。
主催した商品委員会の反町幸代委員長(パルシステム群馬理事長)は、「今回で2回目となる『しあわせの経済・スローライフ』は“地域の中で、みんなでしあわせになる”ことをめざすものです。11月には『しあわせの経済』国際フォーラムが開催され、パルシステムはローカルフード・八丁味噌の事例紹介で参加しました。さまざまな角度から『しあわせの経済』について学んでもらえればと思います」とあいさつしました。
まずは自分を「養生」しよう
「最初に伝えたいのは、何かを始める前に、まずは自分の心の状態を大事にすること。周りを支える前に自分を満たしてあげて欲しいのです」というソーヤーさんの指摘をふまえ、前半ではグループワークを行いました。「制限がなければどんな(理想の)くらしをしたいか」「できること」「してほしいこと」を意見交換しました。
「共有したいのは、今日のこのエネルギーです。これを地域や社会でもできたら、発想や人との接し方が変わってきます。今日の経験を持ち帰って自分の家や組織で実行、実験してみてください。ここから“しあわせ”が始まり、循環して新たな可能性が広がります」
8つの資本と、需要と供給の可視化
ソーヤーさんは経済と資本の考え方、「つながりづくり」についても指摘しました。
「資本には社会的資本、物的資本、金融資本、生命的資本、知的資本、経験的資本、精神的資本、文化的資本の8つがあります。例えば金融的資本がなくても、人間関係からできる社会的資本、人生経験からの経験的資本など、気付かないだけでたくさんの資本をもっています。ないものではなく、あるものについて視点を変えていく。お互いが求めていること(需要)、自分にできること(供給)を明確にし、双方の思いを可視化することから助け合える関係性がうまれます。これだけでもりっぱな経済活動です」
「パーマカルチャーの原則として、『Start small and simple』、身の丈でやる、身の丈の経済でいいのです。ポイントは強制ではなく、楽しくやること。議員会館の前で味噌づくりのイベントを行っていて、毎年参加してくれる議員さんもいます。国や政治に不満があったとしてもまずはつながりをつくる、戦わずにつながっていくこと、そこから物事が変わっていきます」
「つながりの質」を高めることがテーマ
後半では、ソーヤーさんと当会常務執行役員・髙橋宏通が「しあわせの経済とパルシステム」について対談しました。「しあわせの経済」国際フォーラムに参加し「今回1000人以上の参加があり、若い人もたくさんいました。同じ思いをもった人たちが集まるのは大事なこと」とソーヤーさん。
高橋は「人とどうつながるか」を今後の課題として挙げました。「意識したいのはつながりの質を高めていくこと。震災などで助け合えるのは遠くにいる友人ではなく、隣近所です。孤立化していく社会のつながり、コミュニティを取り戻していかなければなりません。生協の仕組みはまさに『つながり』のネットワークです。自分が安心できる場所は人が安心できる場所。自分だけが幸せになるのではなく、『しあわせの経済』としてみんなで広めていきたい」とまとめました。
当会商品開発副本部長・西田隆は「お金だけではない社会、経験、信頼の資本について、助け合いの仕組みや関係づくりを大事にすることを学びました。温かみのある経済を形づくれるよう、これからも話し合っていきたい」と結びました。