自転車で参加できる産直交流 生産者が訪問するパルシステムのイベント(社会貢献活動レポート|2013年3月)

2013年3月1日

「産直交流」といえば、組合員が産地を訪れて農作業などを体験する産地ツアー。でも、パルシステムグループでは、産地へ行かなくても生産者と交流する機会があります。それが、産直産地の生産者を招いて行う料理教室や学習会などのイベントです。
組合員が遠くまで出かけることなく、生産現場の生の声を聞き、育てた生産物を味わうことで、産直をもっと深く知ってもらおうという取り組みです。
参加した組合員のほとんどから「すっかり産地のファンになりました」「今度は産地に行ってみたいです」との声が聞かれます。

手慣れていてわかりやすい講師の説明を真剣に聞く参加組合員

「浜の母さん料理教室」の講師を務めた、野付漁協の内藤隆代さん、戸田豊子さん、村山満子さん(左から)

小さい子どもがいても安心
「ママ友」同士の参加も

収穫体験をはじめとする産地ツアー、産地でのイベントは、パルシステムの産直交流の大事な柱です。しかし、それとは別に、仕事や子育てに忙しい組合員が、電車や自転車で参加できるような身近なイベントも、パルシステムでは大事に考えています。

生産者が来訪して地域に住む組合員のみなさんと交流する手軽な産直交流の代表例が、 「浜の母さん料理教室」です。これは、『コア・フード野付のほたて』や『北海道野付のいくらしょうゆ漬け』などの産地、北海道野付漁協から、生産者の女性を講師に迎え、各地で開催しています。2013年も2月に9カ所で実施しました。千葉県船橋市で開催された料理教室には、パルシステム千葉の組合員18名が参加しました。申し込みは、ほぼ毎回、抽選となるほどの人気だそうです。

参加者のなかには、1歳の子どもをもつ「ママ友」3人グループも。そのひとりは、「子どもが小さいので、産直ツアーなどで野付まで行くにはやっぱり不安があります。そこで地元での開催があると知って応募しました。ずっと楽しみにしていたんですよ」。また、もうひとりは、「パルシステムのイベントは保育があるのがうれしいです。自分の時間を有意義に過ごせて、貴重な機会になっています」と話します。生協では、多くのイベントで幼児の保育が可能です。小さな子どもがいるママたちには、自分を取り戻す大切な時間としても喜ばれているようです。

ふだん体験できない内容
講師は事前に手順を確認

さて、ママ友のみなさんも子どもを預けて、いざ教室へ。
「浜の母さん料理教室」では、まず冒頭で植樹など、野付漁協がパルシステムと協力して実施している資源保全活動を映像などで紹介。「これは子どもにも見せたいね」と話す姿も見られるなか、続いて、野付の産直品を使用した料理づくりに挑戦。植樹によって栄養豊かな海をつくり、資源を管理しながら大事に育てられたホタテやエビ、秋鮭などが目の前にならぶと、ただでさえ立派な海産物がさらに大きくみえます。

ほとんどの食材は、事前に下ごしらえがされていますが、今回は、活ホタテの殻むきも体験してもらいました。貝殻のすき間にへらを差し込み、大きな貝柱をはがす作業を体験したことのある人はさすがに少ないよう。生産者からていねいな手ほどきを受けながら貝殻をはがす参加者は、真剣そのもの。話をしながらも、料理の手を緩めることはありません。それだけみなさんも集中しているようです。

初体験のホタテの殻むきに、目は真剣

1時間ほどで「ちゃんちゃん焼き」や「海鮮サラダ」「ホタテの串焼き」「鮭汁」などを作り終えると、あとは、お待ちかねの試食の時間。そこでの楽しいおしゃべりが、食事をさらにおいしくさせます。生産者として、消費者として、母として――。それぞれの立場を超えての会話は、時間を忘れさせ、もちろん、食卓のお皿はほとんどきれいになっていました。

試食の時間は女性同士ならではの話題に花が咲く

講師役を務める生産者の3名は、事前に講習を受け、時間通りにつくることができるよう手順を確認しています。こうした準備が、テンポよく飽きのこない内容になっているようです。実際、料理教室には毎年申し込む「リピーター」も少なくないとのことでした。

職員のみなさんも「産地に来てほしい!」

パルシステムでは、毎年6月ごろに野付への産直ツアー「ふーどの森を守る植樹ツアー」を開催しています。
料理教室終了後、参加した組合員のみなさんからいただいたアンケートでは、「子どもの教育にも絶対いいので、いつか参加したいです」「いつか行きたいので、続けていてください」などのコメントが寄せられました。

講師を務めた野付漁協の村山満子さん、戸田豊子さん、内藤隆代さんの3名も、「本当は産地で楽しんでほしいですよね」と、口をそろえます。

「作った料理を『おいしい』と喜んでくれたり、スリムな奥さんがどんどんおかわりしたりしているのを見ると、こっちもうれしくなります」(戸田さん)
「いろんな感想が聞けて、産地にとっても貴重な機会なんですよ」(内藤さん)
「男性の参加者も増えているし、野付の“ファン”にたくさん会えるので、毎年、楽しみが増えています」(村山さん)

と、それぞれに出前交流の意義を感じながらも、組合員のみなさんにもぜひ産地の実情を目で見て感じてほしいというのが本音のようです。そして、毎年講師として参加する村山さんは続けます。
「料理教室をきっかけに、産地ツアーに参加するようになった人がたくさんいます。組合員さんはもちろんですが、今後は多くの職員が産地へ来てくれることを願っています。自然に触れながら食べものについて考えれば、組合員さんへの対応も豊かになるのではないでしょうか」。

料理教室や学習会――
身近な産直を楽しんで

パルシステムではこのほかにも、会員生協やセンターで開催している商品展示会やセンター祭はもちろん、学習会や料理教室を頻繁に開催しています。
それぞれ農産、畜産、水産などの産直産地の生産者が来訪し、食べ方の工夫や生産の特徴などを説明し、産直の魅力を伝えます。ときには、生産者が配送トラックに同乗し、配送担当者とともに組合員宅を訪問し、ご意見をうかがうという機会をもうけることもあります。

また、パルシステムと産直産地で構成する「パルシステム生産者・消費者協議会」では、毎年3月に開催する総会の翌日に、各都県で組合員と交流する「県別交流会」を開催しています。この交流会では、各産地からの産直品を使用した料理が振る舞われる昼食会を行う会場もあり、参加者の楽しみのひとつになっています。2013年3月の交流会には、全国の産地から500名以上の生産者が参加し、組合員とあわせて合計1千人以上が交流しました。

こうした身近な産直体験をきっかけに、次は組合員が産地へ出かけ、互いに理解を深め合う――生産者はそれを待ち望んでいることでしょう。

*本ページの内容は2013年3月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。 あらかじめご了承ください。