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社会課題を現場に学ぶ「第3回地域連携研究会」 生きづらさを抱える若者たちに寄り添い支援

2017年8月21日

パルシステムは2016年4月、旧運動委員会の元に「地域連携研究会」を設置し、社会的に問題となっている貧困・格差問題に対し、会員生協や地域団体と連携して情報交換や学習会、解決への研究等を行っています。2017年度8月から、新しく地域活動委員会の元に設置され、内容を再編成して実施します。

第3回の7月19日(水)は、「自分らしく輝くために、学ぶ力を育てる、働く力を身に付ける」ことを目的に、進学・復学・就労のためのスキルだけでなく、まわりの人と協同する力を育み、他者や自分への信頼を取り戻すサポートをしている」NPO法人文化学習協同ネットワークを視察しました。

文化学習協同ネットワークとは

東京都三鷹市にある文化学習協同ネットワーク(以下、協同ネット)は、1974年より、子ども・若者の学習支援や居場所づくり、社会参加や就労支援を行っています。生活困窮世帯の小中高生の学習支援、ひきこもりや不登校の子ども・若者の居場所づくり、若者サポートステーションの運営、中間的就労プログラムを通じた若者の就労支援の他、ベーカリーやカフェ、農場なども展開。様々な活動を通して、周りと協同する力を育み、他者及び自分への信頼を取り戻せるよう日々活動しています。

コミュニティベーカリー「風のすみか」

 

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協同ネットが経営するコミュニティベーカリー「風のすみか」は、安心安全で地域に根ざしたパン屋を目指すとともに、「若者の学ぶ、働く場をつくりたい」という思いから、地域のみならず全国各地から賛同金を募り立ち上げたベーカリーです。

ここでの就労研修では、あいさつのしかたから、パン生地の成形や工場の清掃、店舗での接客、パンの配達、イベントの出張販売などさまざまな仕事を体験。これらの実践を通し、働くための基礎的能力を養い、自信をつけていきます。一日の終わりには仕事を振り返り成果や課題を伝えあい、成長を実感し合います。仲間と共に働き方を学び、仲間と共に成長できる場です。

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三鷹事業部統括責任者の高橋さん(左)、「風のすみか」研修責任者の廣瀬さん

「風のすみか」研修責任者の廣瀬日美子さんは、「ここでは半年ほどの集中プログラムで、失敗もしながら仕事を覚えていきます。実際の職場体験のなかでこそ、働く姿勢や感覚が身につき、仕事は社会と地続きになっていることを実感してもらえます。ここにいればいろんな人や物と出会い、うろうろしていたら次につながりそうな感覚が芽生える。そんな希望につながることから『ウロウロネットワーク』と呼んでいます」。

フリースペース・コスモで安心できる居場所づくり

ここは不登校の子どもが集う居場所、学びの場です。自己を肯定できず悩んでいる子どもたちに、“いつ来てもいつ帰ってもいい”とし、各自の発達課題に合わせ、ゆったりした環境で活動してもらいます。仲間と一緒に手足を動かしたり、五感を使い課題を乗り越えるなど、体験に基づいた学びが中心です。

学校に行ってないので自分たちの興味にじっくり時間を使えます。百人一首がすごく流行ったことがあって、この句に出てくる人は誰か、場所はどこだろう、実際そこへ行ってみようなど、歴史への興味の始まりや深まりが見られたそうです。「受験のための勉強ではなく自分のための勉強なのです。学校に行かなければいけない、勉強しなければいけないなど“しなければならない”ではない、模索する時期と居場所をつくってあげたい」と三鷹事業部統括責任者の高橋薫さんは心を込めて話します。

地域若者サポートステーション「必要なのは中間的支援」

社会的自立を目指す15~39歳までの若者を対象としており、予約制で担当の個人面談からスタートします。その後、必要に応じて訪問も行い、一人ひとりに応じたプログラムをつくり実施しながら、隣接するハローワーク三鷹と連携し、就労や進学・復学、職業訓練などの次のステージを目指します。職場体験の場として前述の『風のすみか』やDTPユースラボ※等があります。

就職してからも「いつでも戻ってこられる安心できる居場所」として月に2回のOB会を開催。「いい働きとはなにか、働くってどんなことか?」などをテーマに話し合っています。

パソコンでこんな印刷物も作っています

パソコンでこんな印刷物も作っています

「突然目の前のレールがなくなってしまった」――大学卒業後のある学生の言葉。今までは勉強や受験と常に目の前にレールが敷かれていたが、卒業後は自分だけで何かをやっていかなければならないという壁にぶつかってしまう。また就活前、さらに就職できてもドロップアウトしてしまう20代後半から30代前半の若者が昨今増え、協同ネットにも多く通っているそうです。

高橋さんは「ここへ来る若者は、就職したもののうまくやっていけないのではないかと自分にブレーキをかけてしまうような人が多い。そこで前述したベーカリーやカフェ、協力してくれる研修先の企業で働きながら自信を積み重ね、ゆるやかに就労へつなぐことを心がけています」と話します。「せっかくスキルを身につけ雇用先が見つかっても、激務だと結局つぶれてしまう。少し余裕がある受け入れ先を探すようにしていますが、ほんとうは、働きながら社会との関わりを学び導いてくれるような中間的支援の場が増えてほしいです。(パルシステムにも)そういう役割を期待しています」(高橋さん)。

※「DTPユースラボ」
2015年10月に中央ろうきんの助成で始まった、就労を目指す若者のデザインワークショップ(DTP:パソコン上で行う編集作業と出力)。座学と協力企業での実践を積み重ね、力をつける。

2017年度第1回地域連携研究会|みやぎ生協に学ぶ貧困・格差・社会弱者問題 解決の取り組み(2017年5月1日)

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