パルシステム生消協が青年農業者交流会を開催 危ぶまれる遺伝子組換え作物の現状を知ろう

2016年11月30日

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深刻化するGMO問題と新しい局面

パルシステム生産者・消費者協議会(以下生消協)の青年農業者交流会が、11月10日(木)~11日(金)の2日間にわたって開催されました。この交流会は、パルシステムの産直産地の今後を担う若手農業者の学習・交流の機会として毎年実施されています。今年は全国各地から24産地69名が参加しました。

1日目は茨城県・オークラフロンティアホテルつくばにて、遺伝子組換えについての講演会と交流会を行いました。冒頭、生消協の大津清次代表幹事(愛媛・無茶々園)があいさつし「社会構造が大きく変化する中で、生産者は農産物を生産するだけではなく、アンテナを張って自ら情報収集を行う必要があります。自らの産地の問題を見極め、打開策を模索し、新たな挑戦を続けなければなりません。この大きな役割を担うのは青年農業者です。定年のない農業の世界での世代交代は難しいですが、産地や地域を守り、農業を存続していくためにも若手の活躍に期待します」と述べました。

河田昌東さんの講演

河田昌東さんの講演

続いて、チェルノブイリ救援・中部理事で分子生物学の第一人者である河田昌東さんから「遺伝子組換え作物の今―基本的な問題点を置き去りの危険な開発競争―」と題し講演がありました。

GMO(遺伝子組換え)は大豆が1996年から実施され、その目的は人口増や農薬に対する環境対策、省力化と大量生産として世界的に広がりました。現在のGMO作物面積は世界で1億7千850万ha、うちアメリカ40%、ブラジル23%、アルゼンチン13%、作物では大豆が50%、トウモロコシ30%、綿が13%といわれています。

しかしここにきて深刻な問題も見えてきていると河田さんは言います。「ひとつは収量減です。地域や作物によっては20%以上減もあります。それに伴う農薬の使用増と、より耐性を強化したGMO開発が問題となっています。当初は農薬減が期待されていたのが、スーパー雑草の出現で、1回の散布では足りずに3回が当たり前という状況です。さらに飼料の農薬残留量が緩和されたことで健康への影響が不安視されています」。

環境に与える影響について「メキシコでは野生とうもろこしにGMO遺伝子が確認され、交雑による遺伝子汚染が広がっています。日本でもGMO菜種の自生がみられ、それが近縁種のからし菜、ブロッコリーなどと交配し河川敷に繁殖しています。一度広がったGMO遺伝子の回収は不可能であり、特に日本では在来種の汚染が避けられない状況です」。

アメリカのGMO主力企業がドイツや中国に買収される事態も起きており、今後のGMO作物は新たな開発や栽培面積拡大など、大きな局面が予想されます。引き続きGMO問題を注視していく必要性を参加したみなさんで再認識しました。

若手農業者のさらなる活躍を期待

会のまとめとして生消協アドバイザーの谷口吉光秋田県立大学教授は「遺伝子組み換えは遠い世界の話ではなく、どこにでもありえる話です。パルシステムの生産者の農薬削減や環境保全の取り組みは社会的にも評価できるものです。生消協は生産者が集い、パルシステムグループの役職員とも協議できる体制となっている全国的にも珍しい組織です。生産者が力を合わせて様々な問題に立ち向かっていく必要があります」と若手農業者や組合員に向けて提起し、さらなる連帯を期待しました。

翌11日(金)は筑波農林研究団地にある食と農の科学館を訪問し、日本の農林水産業の発展のために研究開発された技術や成果を視察、グループごとに発表を行ないました。